(2) 「子どもと自然」の文化
人びとの暮らしが里山から離れてしまった現代では、子どもが自然とふれあう機会は少なく、ましてや子ども独自の自由な発想で自然遊びに親しむ姿はほとんどみられない。仮に多くの子どもたちが自然や生きものへの関心を示したとしても、身近な場所で実際に体験可能なフィールドがなければ、せっかくの興味が色褪せてしまうのは当然のことである。そういう意味からも、各地で保全が進められている里山の自然環境を有効に活用することができれば、里山資源の利用や里山文化の継承も大きく前進することが予測される。
都心から40?q圏に位置する狭山丘陵においては、里山管理における自然遊びの復活と継承を展開するなかで、新しい時代にふさわしい「子どもと自然」の文化を創出する役割が求められており、またそれを実現する下地は十分に整っているものと考えられる。そこで、自然環境調査および自然の遊びに関する調査結果をもとに、当該地域で容易に継承可能な事例を選択し表II-1-7にまとめた。このような伝承遊びが次代の新しい自然遊びへと発展することは大いに期待できるところであり、その主役はやはり子どもたちにほかならない。