(5) 望ましい狭山丘陵の将来像について
狭山丘陵に期待する将来像を探ることを目的に、問5では自然保護と開発の問題を、問6では農業のあり方について、問7では狭山丘陵に親しむために必要な条件について質問した。
1]自然の保護と開発
自然保護優先から開発優先にいたる4段階の中から1つ選択してもらった。「開発はしないで自然を保護する」43.4%と「なるべく開発しないほうがよいが、やむを得ない時は自然に十分配慮する」48.0%を合わせた自然の保護を優先する回答が91.4%と圧倒的に多く、開発優先型の「開発を進めるがある程度自然も残す」と「自然保護より開発を優先するべきだ」は合わせても7.7%にすぎなかった。
この傾向は市町、地域、性別、世代、職業別にみてもほぼ同じであった。
2]農業のあり方
狭山丘陵におけるこれからの農業のあり方について6項目から1つ選択してもらった。「自然と調和した伝統的な農業を振興する」31.6%と「伝統的な農法を維持し、観光資源(農業体験教室)などに活用する」31.4%の回答が共に約3割で最も多く、次いで「現状の農業を維持する」が13.3%であった。また「よく分からない」の回答も15.0%あった。
この傾向は市町別、男女別にみてもほぼ同じであり、狭山丘陵と農業とのかかわりでは伝統的な農業の振興を望む声が多く、近代的な農業の振興や農業の衰退を望む人はごくわずかであった。
「自然と調和した伝統的な農業を振興する」を支持する回答は、地域別にみて丘陵に近いほど、世代別にみて高齢者ほど多い傾向がみられた。逆に「伝統的な農法を維持し、観光資源(農業体験教室)などに活用する」を支持する回答は、丘陵から遠いほど、若齢者ほど多い傾向がみられた。
3]狭山丘陵に親しむために何が必要か
5つの項目と「その他」の項を設け、複数回答で選んでもらった。「歩きやすい観察路や案内板を整備する」68.4%、「トイレや水道を整備する」44.7%といった最低限必要な施設を望む回答が多く、次いで「自然観察会や伝統文化の体験講座などを行う」31.2%の順に多かった。これに対し「博物館をつくって、そこを拠点に伝統文化や自然の研究、展示などをする」(10.0%)や「車で来やすいように道路や駐車場を整備する」(22.8%)といったいわゆる箱ものを望む回答は少なかった。
この傾向は市町別、男女別、職業別にみてもほぼ同じであった。また「その他」の意見では、45件もの意見が寄せられ関心の高さを示した。
「車で来やすいように道路や駐車場を整備する」の回答は、地域別にみると丘陵から遠い地域ほど多く、世代別にみても若齢者ほど多い傾向がみられた。