◇M4区(図I-1-13:植生断面図/表I-1-15:林床・湿地群落組成)
中流域のもう一つの調査区で、右岸斜面は勾配が大きく階層構造の発達の悪いコナラ林であり、左岸では小さな谷戸に続く丘脚部にコナラ-クヌギ林が成立している。林床群落はいずれもアズマネザサの優占する群落で、とくに左岸丘脚部ではほとんど純群落で(SDR100)、多様度指数が0.37と極端に低い。
一方、谷底部ではウキヤガラのまとまった群落がみられ、その下層部にミゾソバやアシボソなどが生育している。
◇M5区(図I-1-14:植生断面図/表I-1-16:林床・湿地群落組成)
下流部の水田地帯を横断する調査区で、ベルト長は96mに達する。右岸はコナラやクヌギの混交するヒノキ植林、左岸はやや階層構造の発達したコナラ林であるが、谷底部では水田をはさんで東西に水路が形成されている。群落の多様度指数は0.85である。林床群落は右岸斜面で平均植被率が12.8%と極端に低くなっているが、それ以外は比較的変化に富んだ植物相がみられる。とくに谷底部の二つの水路と水田では多数種の湿性植物が記録されている。