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これには、選手や審判や応援団としてグランドで活躍する人はもとより、前日までの準備に、そして当日の裏方としてこれを支えるすべての人々が汗を流すことで、ドラマや感動が生まれ、互いに協調する心が育まれ、新たな活力が生まれるものです。そして、それは市政においても、また、まちづくりにおいても同じことが言えるという理念のもと、この考え方を具体的施策として市民に提唱し、事業化したものがこの『うらがまちづくり推進事業』なのです。

この"うらが"とは福井弁で"私の"という意味であり、標準語訳すれば「わたしのまちづくり」という意味になります。また事業内容は、市民一人ひとりがまちづくりの一役を担い、自らが考え、参加することによって、「活力のあるまち、人にやさしいまち」づくりををめざし、市内43全地区において取り組むこととしました。そして各地区への事業支援については、各地区事業を実施するための補助の額を1地区当たり3年間で3百万円を上限とし、事業費の10%以上は地区負担を求める内容で、3年間の事業費総額は1億2千9百万円となっています。(最終的な7〜9年度の事業費総額は1億6千5百万円となりました)

 

事業の特色

 

『うらがまちづくり推進事業』は、市全体の活性化と市民の自主性を涵養する目的で、"全市的"に事業展開をはかる考え方ですが、"全市的単一事業"では実際的には「きめのこまかい」事業展開が難しく、また市民一人ひとりにとってもインパクトに欠けることにもなります。そこでこの事業からより大きな効果をあげるため、市民にとって最も身近なコミュニティである公民館を中心とした『地区』を事業単位としたことに、この事業の"第1"の特徴があります。

"第2"に、各地区が取り組む事業はソフト事業を主体とするものとしました。公園を整備したり、銅像や石碑、モニュメントを建立するだけというような、ハード的な事業では一過性となりがちで、住民の連帯意識醸成や地区活性化にはつながらないという考え方です。

また、"第3"の特徴としては、事業期間を平成7から9年度の3年間としたことです。これは各地区における取り組みを継続的に、そして将来にわたって根づかせるためには、まず3年程度の支援期間(3年計画)が必要という判断からで、行政はいわばきっかけづくり、触媒機能としての役割を担うという考え方で行ってきました。

さらに各地区に対しての条件も前記のソフト事業主体という他には何もつけず、各地区のレベル、ニーズに沿った、各地区の自由裁量で行なうこととしました。そしてこの事業から派生した43の地区活動のうねりが、福井市全体のまちづくりの大きなうねりとなるよう、また各地区で育まれた自主意識に目覚めた活力ある多くの市民の手で、福井市全体のまちづくりが推し進められていくことを期待したものでありました。人口が数千、また数万規模の地方自治体においてのまちづくりは、その自治体独自の自然や歴史、産物といった、言わば"そのまちの個性を活かしてのまちおこし事業"によって全国的には様々な成功例があります。しかし、人口が本市のように25万を越えるような規模の自治体において、市域全域に対して一斉に住民参加型のまちづくり事業を行なったケースは、全国的にもあまり先例がないようです。

 

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うらがまちづくりみこし<社南地区>

 

事業の展開そして成果

 

本事業は、平成6年、市政の基本方針として打ち出した"運動会型"市政運営(=市民参加型)の代表的・象徴的事業として企画され、市民(市内43地区)に対し提案されました。初年度となる平成6年度は、各地区において事業推進の母体となるうらがまちづくり地区委員会が組織され、その委員会の手でそれぞれの地区がどのような事業に取り組むかの企画立案がなされました。

 

 

 

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