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納税者の運用利回りをi、現在a歳の納税者がt歳時まで生存する確率をl(t、a)とすれば、a歳以降の延納税額の総額の現在価値は

 

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となる。L=Σ[P]となる毎年の延納税額は次式で表され、Haの評価額の土地を有する納税者の延納額の年額値Pが得られる。

 

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3)計算例

評価額5, 000万円の65歳の納税者がリバース・モーゲージによる延納制度を利用し(掛目100%を仮定)、20年後の85歳時点で死亡する場合、上記の(2)式より、延納税額の年額は以下のように推計される。

 

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例えば、貸出利子率を5%、利子率2%、土地の評価額上昇率3%の場合、年額で243.3万円の固定資産税の延納が可能となる。なお、他の条件を一定とすれば、リバース・モーゲージの貸出利子率が低ければ低いほど、利子率が高ければ高いほど、そして、土地評価額の上昇率が高いほど、制度適用者の条件は有利になる。

評価額5, 000万円の土地の固定資産税額は70万円であるから(評価額をそのまま課税標準として単純計算)、実際のリバース・モーゲージ貸出利子率の設定等の操作によって差異が出てくるが、インカム・フローの少ない高齢の納税者の負担軽減を行いつつ、その間に思い切った固定資産税課税の適正化が断行できるもの思われる。将来の利子率や地価の動向、地価水準や現在の負担水準などの地域特性を含めて、より精なシミュレーションがなされねばならないが、固定資産税課税の適正化を高齢社会という制約の下で進めていくうえで、リバース・モーゲージを活用した納税システムの活用について今後、さらなる研究が求められよう。

 

 

 

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