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その場合、介護や医療そのものと生活関連費用を分離し、通常の生活をしていてもかかる食事、洗濯などの費用については自己負担とするなどの工夫が必要である。今日の高齢者家計の一人あたり可処分所得はそれ以外の世帯の一人あたり可処分所得と比較してまったく遜色がない。

(5) 社会保障制度内、あるいは社会保障制度と税制などの制度とのあいだで目的を同じくする制度の調和・統合が必要である。たとえば、児童の養育を支援する目的で社会保障制度には遺族年金の子の加算、児童扶養手当、児童手当があり、所得課税には所得税と住民税の扶養控除がある。また、高齢者にたいする要介護などにかんする所得控除や介護手当ても整理統合する必要がある。

(6) 同じ世代のなかで資産分布や所得分布の格差がもっとも開くのが高齢期であることを考えると、フローの所得も資産も少ない高齢者には所得補助などなどが必要になる。応益原則を軸にすると人頭税や固定資産税が望ましいことになる。またフローの所得が少ないが住宅などの資産がある高齢者については住宅にすみながら現金化する方法を考える。それにはいくつかの方法があり、ひとつはつ住宅資産を活用したリバース・モーゲージの整備であり、また相続税を課す時点でかかった料金を精算する方法も考えられる。

 

 

 

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