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2. 現行の社会保障制度と自治体、財源

ILO基準による社会保障制度には年金保険、医療保険、介護保険、児童手当、社会福祉、生活保護、戦争犠牲者援護が含まれる。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、1997年度の社会保障給付費およそは70兆円(対国民所得比は17.78)のうち、年金は36.3兆円(構成比は52.4パーセント)、医療は25.3兆円(同36.5パーセント)、福祉その他は7.7兆円(11.1パーセント)である。このうち自治体の関与が大きい医療保険、介護保険、児童手当、生活保護について述べたい。

医療保険のうち地域型の国民健康保険および退職者医療制度は市町村が保険者であり、老人保健制度は市町村が実施主体である(資料3及び資料4参照のこと)。費用の負担割合は、地域型の国民健康保険では、原則として給付費のおよそ50パーセントが国庫負担であるが、市町村の一般会計からも赤字が補填されている。保険基盤安定負担金として、保険料の軽減額を一般会計から国保特別会計に繰り入れることとし、その2分の1が国庫負担であり、都道府県と市町村は4分の1ずつ負担する(暫定措置あり)。老人保健制度についての市町村の負担は、自己負担を除いた部分について国が12/60、都道府県が3/60、市町村が3/60、各保険者が42/60である。ただし、老人保健施設療養費などについては国が20/60、都道府県が5/60、市町村が5/60、各保険者が30/60である。後者は公費と保険料が半々という点で介護保険の負担割合の雛型になった。

介護保険も同じく保険者は市町村である(介護保険については本報告書資料編259ページを参照のこと)。児童手当、生活保護については国が管轄する事業であるが、地方負担がある。1割の自己負担を除いた部分について、費用の負担割合は国が25パーセント、都道府県が12.5パーセント、市町村が12.5パーセント、65歳以上の高齢者の保険料が17%、40歳以上65歳未満の保険料が33%である。

昭和46年に施行された児童手当制度は3歳未満の児童を生計を同じくして養育しているものに給付されるものであって所得制限(1995年度で4人世帯で238万円)がある。支給額は第1子及び第2子については月額5000円、第3子以降の児童1人につき月額1万円である。受給者はまず市町村に申請して認定を受けなければならない。費用の負担割合は、被用者については事業主が7/10、国が2/10、都道府県が0.5/10、市町村が0.5/10である。被用者については、国が4/6、都道府県が1/6、市町村が1/6、公務員については国または自治体が全額を負担することになっている。

 

 

 

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