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2]福祉目的税化の議論について

上述したとおり、現在、消費税は福祉目的化されており、具体的には使途の限定を予算総則に明記するという形で消費税の福祉目的化が行われている。その趣旨は、消費税収を広く国民の老後等を支えるための予算に使うということを明らかにし、消費税に対する国民の理解を一層深めることということである。

消費税の使途は、消費税と地方消費税を合わせて5%のうち、消費税の4%、これの29.5%が地方交付税として地方へ配分されている。それに加え地方消費税の1%が地方へいっており、消費税、地方消費税合わせて43.6%が地方分として行っているが、国に残る56.4%が福祉目的化されているということである。

1999(平成11)年10月4日には、3党の連立政権の政治政策課題合意がなされ、高齢化社会での生活の安心を実現するため、2005(平成17)年を目途に年金、介護、高齢者医療を包括した総合的な枠組みを構築し、それに必要な財源のおおむね2分の1を公費負担して基礎的社会保障の財政基盤を強化するとともに、負担の公平化を図るため、消費税を福祉目的税に改め、その金額を社会保障経費の財源に充てるとされている。

この場合、地方消費税は前述のように地方税の税目の中でも税収の偏在性が少なく安定性に富んでいる地方税にふさわしい税であり、地方財源としてこれからも大事な基幹税的な税である。地方団体の財政面における自己決定権と自己責任をより拡充する必要性を考慮すれば、目的税的に扱うというよりも福祉を含めた幅広い行政事務を担う地方を支える税として今後とも位置付けることが必要である。

また、地方交付税は、地方交付税法に運営の基本が定められており国は交付税の交付に当たって、地方自治の本旨を尊重し、条件をつけ、又はその使途を制限してはならないというのが明記されている。

従って、地方消費税や消費税の地方交付税分については、福祉目的化、福祉目的税化は適当ではなく、今後とも憤重に検討する必要があるものと考えられる。

 

 

 

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