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表18

平成12年度の税制改正に関する答申(平成11年12月)抜粋

 

− 平成12年度税制改正をとりまく状況

 

3 将来の税制改革に向けての検討状況等

(3) 少子・高齢化の進展に伴い、今後、急速に増加することが見込まれる社会保障給付の財源に充てるため、消費税を福祉目的税化すべきとの議論があります。

平成11年度予算においては、消費税収(地方交付税分を除く国分)を基礎年金、老人医療及び介護に充てることを予算総則に明記する、いわゆる「福祉目的化」が行われました。この結果、平成11年度当初予算では、一般会計税収のうち使途が特定されていない分が23.0兆円(所得税、法人税、酒税及びたばこ税の収入から地方交付税分を差し引いた分並びに相続税、印紙収入等)であるのに対して、これによって賄うべき歳出は2倍以上の54.1兆円であり、不足分は公債発行に頼っています。こうした財政の現状にかんがみると、消費税収(国分)の使途を福祉目的に限定していく場合、それ以外の歳出の規模と消費税以外の税収とをどのようにバランスさせていくのかということが大きな課題となります。

消費税を福祉目的税化するということは、予算総則による「福祉目的化」の場合と異なり、消費税の使途を制度的に福祉目的に特定することを意味していると考えられます。当調査会においては、消費税は、今後、わが国の税財政にとってますます重要な役割を果たすべき基幹税であること、目的税化は財政の硬直化を招くおそれがあること、さらには、諸外国においても消費税等を目的税としている例は見当たらないことなどから、消費税を福祉目的税とすることについては、慎重に検討すべきであるとの意見が多数ありました。

他方、将来の税財政のあり方を考える上で、消費税の充実が必要であるとすれば、福祉目的税化も検討に値する考え方であり、その是非について十分な議論を行うことが必要であるとの意見がありました。また、仮に、敢えて福祉目的税化を行う場合には、将来世代へ負担を先送りせずに社会保障給付の増加と消費税負担との対応関係を明確にしていくのでなければ、その意義は見出せないのではないかなどの指摘がありました。

いずれにしても、この問題は、税制、財政及び社会保障のあり方に深く関わるものであり、今後、社会保障制度のあり方等についての検討を踏まえつつ、国民的な議論が行われるべきものと考えます。

(以下略)

 

 

 

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