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また1985(昭和60)年度には約6兆3千億円であった民生費総額も1997(平成9)年度には約12兆7千億円と2倍以上の伸びになっており、歳出純計決算額の伸び(1985(昭和60)年度を100とすると1997(平成9)年度が174)と比較しても民生費の伸びが著しいことが認められる。

老人医療費は、1985(昭和60)年度には4.1兆円、国民医療費に占める割合が25.4%であったものが、1999(平成11)年度には、11.2兆円(推計)、37%となっており、公費を一部負担する必要のある地方団体にとってもその負担は増加してきている状況にある。

 

2]介護保険に係る地方負担の増大

介護保険には大きくわけて在宅サービスと介護施設サービスの二つがあり、在宅サービスとしては、ホームヘルパーの家庭訪問、デイサービスヘの通所、訪問看護、訪問入浴などがあり、介護施設サービスとしては、特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群などの介護体制の整った医療施設があって、これらを介護保険により提供しようとするものである。

介護保険とは保険制度のひとつで、被保険者が保険財政を支えるものであり、被保険者には第1号被保険者と第2号被保険者の2種類が存在する。

第1号被保険者は65歳以上の者で構成されており、保険料の約8割は年金からの天引きにより納付するが、残りの約2割は市町村が実際に徴収を行うものである。また、第2号被保険者は40歳以上65歳未満の者で構成されており、保険料は医療保険各法に定めるところにより医療保険者が徴収のうえ一括して納付し、市町村に配分するものである。

公的負担については、第1号被保険者たる高齢者の納める保険料の総額を1とすると第2号被保険者たる若年者の納める保険料の総額は2となり、これら保険料負担と同じ額を公費で賄い、その公費負担分の割合は国2に対して都道府県と市町村がそれぞれ1となるものである。

 

 

 

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