(2) 事業者決定後の契約について
本事業においては、事業コンペでの提案内容(事業計画、設計、施工、事運営等)に関する基本的事項について、決定事業者と協議・確認のうえ平成11年1月に「基本協定書」を締結した。
この協定に基づき、詳細については設計委託契約(平成11年2月締結)、建設事業委託契約(同3月締結)、及び事業運営に関する協定(事業運営会社設立時までに決定)の中で各々定めることとしている。
特に、建設事業委託契約については、これまでに事例のない契約案件であり、金額的にも市会の議決が必要となることから、委託事業の適正化を図るため、通常、局ごとに設けている庁内の事務事業委託審査委員会を拡大し、全庁的な審査体制で審査を行ったところである。
このように、事業コンペ後に決定した事業者と市が契約を締結するにあたり、金額面での妥当性や契約そのものの適法性を十分に担保するために、各都市においても様々な工夫がなされているようだが、今後PFI手法が普及するなかで、共通の課題として、さらに検討を深めていく必要がある。
また、本事業の基本協定書の中で、事業運営の協定期間を15年と定め、事業の継続義務を事業者に対して課しており、違反した場合の違約金に関するの規約も明記しているが、主眼はあくまでも事業者が当該当事業を安定して継続運営することであり、この点についてもより安全性を高めるためのさらなる工夫が求められている。
(3) 公設民活方式の課題
以上、これまでの事業経過を振り返り、新たな事業展開に向けた課題を挙げてきたが、今後、本事業を含めた公設民活方式を進めていくにあたって、さらにいくつかの課題がある。
まず第一に、運営管理を民間企業に委託するのは自治法第244条2の規定に反するのではないかという問題点が挙げられる。
第1章の4-(2)でも述べられているように、普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため、必要があると認めるときは、条例で定めるところによりその管理を他者に委託することができるとされているが、その相手方は、地方自治体が出資している法人で政令で定めるもの、公共団体又は公共的団体に限られている。