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今後は本事例のように、民間の資金やノウハウの活用により、既存の公共事業方式の枠内でもPFI的なものとして世間に紹介される事業形態が次々と産みだされてくるであろう。

しかしながら、PFIで言うところのリスク分担を明確化した長期契約を締結することは、自治体においては非常に困難な作業を伴うものと予想される。

なぜならば、自治体では長期の債務負担行為が一般化していないのが実情であり、財政担当部局にしてみれば、単年度予算主義という行政慣習の中で、債務負担行為は長期間にわたって財政の硬直化を招くという意識が高いというのが大きな理由のひとつである。

また、インターネットの急速な普及に端的に見られるように、我々を取り巻く環境は加速度的な変化にさらされており、10年後20年後、ましてや30年後の世の中がどのような姿を呈しているのか伺い知ることは非常にむずかしい。

したがって、地域住民に密着した基礎的自治体たる市町村にとって、一定のサービスの効用が長期間不変であると仮定すること自体がリスクであるとも言えるのではないだろうか。

さらに、契約時にあらゆる事態を想定したリスク分担を決定するためには、ある種の政策判断が加わることになり、この時の判断が永続的にその地域の将来をしばることにつながりかねない。

そこで、ひとつの方策として、地域サービスのフレキシビリティを担保するためには、今後自治体に定着していくであろう行政評価システムとPFIをリンクさせ、少なくとも3〜5年毎にサービス自体の見直しを実施する、言い換えれば、PFI事業の「時のアセスメント」ともいうべき仕組みを検討していくべきではないかと考えている。

 

 

 

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