このように、センターの整備から運営に関することまで、最大限の情報公開と幅広い市民の参加による合意形成を図るべく、17回にわたる検討が重ねられた。このことは、これまでの公設施設の建設に見られるような、行政が施設の内容まで固めた上で関係者に説明会を実施する方式とは異なり、その大半を市民委員会の検討に委ねるというものであった。
4. 設置について
センターの設置場所については、早急な整備への市民の期待が大きいことや、本市の財政事情等を考慮し、既存の社会資本を活用し緊急に整備を進めることとし、「市の中心部で交通の便が良いこと」、「センターの機能を満たすために必要な規模の確保(約1,000m2)」、「深夜まで利用可能な、いつでも使える施設」、「身障者等に配慮した施設」を充足することを条件に、本市において検討した。
まず、市有物件及び市借上げ物件について総合的に検討した結果、身障者への対応ができないことや必要面積が確保できないことなどから要件を満たす物件はないと判断した。
次に民間賃貸ビルについて総合的に検討した結果、以下の理由により青葉区本町2丁目にある民間所有のビルを賃借し設置することが最良であると判断した。
・JR仙台駅前に近い位置にあり、地下鉄広瀬通駅より徒歩3分であることや、駐車場付きであることから、交通の便がよいこと。
・ビル全体を賃借することが可能であり、管理・運営の自由度が高く、求められる「深夜まで利用可能な、いつでも使える施設」として提供できること。
が大きな理由であるが、ただし問題も挙げられた。
このビルは市の中心部に位置する4階建ての民間所有のビルであるが、当初、専門学校の教室として昭和38年に建設され、その後、民間事務所として2度にわたって増築・改修が加えられたものである。構造体としては2つに分かれ、相互の間には階高の違いがある上、全体として大きく3つのブロックに分けられている。そのために、各室の配置関係が複雑になってしまい、一つのまとまりのある公共施設として利用するには使いにくい建築物であった。