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財団法人札幌市環境事業公社は、平成2年4月に都市廃棄物を適正に処理することを目的として基本財産40,000千円(出資内訳: 札幌市30,000千円、社団法人札幌市建設業協会10,000千円)で設立され、調査研究・啓発普及事業、資源化事業、事業系一般廃棄物の収集運搬事業を行っている。

この資源物選別施設に係る事業は札幌市と公社の共同事業として位置づけられ、市は環境アセスメントや都市計画事務などの事前準備を行うとともに、公社は金融機関から資金を借入れ、施設を建設することとなり、平成9年7月には2箇所で工事に着手し、翌年、両施設とも完成した。(施設概要は別紙参照)

完成に先立ち、平成10年7月には南区で、同年10月には全市で資源物収集が開始され、札幌市のごみ減量・リサイクルヘの取り組みは、大きく前進した。

 

以上のように、当該建設事業は、随意による協定方式で行われ、また、相手方も第3セクターであることから、純粋に民間活力を導入したものとは言い難い。

しかし、市内には、この規模の事業を一括して受託できる業者は他になく、また、当該公社は、チップ工場や固形燃料工場という札幌市の既設のごみ資源化施設の運営を通して、他社にはないノウハウも蓄積していた。さらに、域内処理を原則とする一般廃棄物(家庭から出るびん・缶・ペットボトルもこれに含まれる)を収集・運搬する業者については、その性格上、市外から求めにくいという状況もあった。

このような中、公社が建設事業の主体となったことで、札幌市としては、先に述べたように建設工期が短縮されたほか、民間の事業資金を導入することができた。また、建設費を処理委託費で支払うことにより、初期投資が平準化されるというメリットがあり、市職員を増員する必要もなかった。

一方、公杜は、事業の運営にあたって、札幌市からの委託料のほかに、事業系の資源物について、排出事業者から直接、処理費を受け取ることができるという経営上の利点もあった。

このように、当該事業は、容器包装リサイクル法の本格実施に伴い早期に資源物の分別収集を行わなければならないという条件のもとでは、VFMという理念に適うPFI類似事業と言えるのではないだろうか。

ただし、第3セクターが事業主体となる場合は、行政が自らと密接な関わりを持つ公社を監視(モニタリング)するという側面を持つことから、PFIジョイント・ベンチャー型と比較して、リスク分担が曖昧となったり、馴れ合いとならないよう留意する必要がある。

 

 

 

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