4 PFI類似事業
(1) 「びん・缶・ペットボトル選別施設」整備事業
札幌市のごみ量は、平成3年度にピークを迎え、その後は減少傾向にあるものの毎年度100万トンを超える処理を行っている。また、近年ごみ質の変化や大型化が進み、適正に処理することが困難なごみが増大しているとともに、最終処分場となる埋立地の確保についても、極めて難しくなってきている。
一方、今日の清掃行政は、単に排出されたごみを処理することから、資源保護、環境保全を図るため、ごみの発生抑制やリサイクルの促進へと転換を図る資源循環型社会の構築へ向けての行動や施策も求められるようになってきた。
このような中、日常生活から出るごみの約6割(容積)を占める容器や包装の廃棄物のリサイクル促進を目的に「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」が平成7年に施行され、平成9年から本格実施された。
この法律によると、市町村は、区域内における容器包装廃棄物の分別収集に必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされている。
札幌市では、平成7年から一部地区で、びん・缶・ペットボトルの3品目を資源物として他のごみとは別に収集する「資源物収集モデル事業」を実施していたが、この法律の制定・施行に伴い、全市での本格実施が急務となった。
資源物の分別収集を実施するためには、収集体制の確立とともに国の定める分別基準に適合させるための選別施設の整備が必要であった。
資源物選別施設は、南方面と北方面に各1施設、当初は市の施設として建設が計画され、国庫補助金(廃棄物処理施設整備費補助)と市債(一般廃棄物処理事業債)を財源とする予定であった。
しかし、当時札幌市は、同じ国庫補助金による新たな清掃工場の建設も計画しており(第5清掃工場: 焼却能力900t/日、平成9〜14年度)、さらなる補助金の導入は難しい状況にあった。
このため、国庫補助金の導入を前提として当該施設の建設を行うと、完成は4〜5年先になり、一方で市の単独事業として行うには、約43億円の建設費がかかることから、市の財政に与える影響が大きく、いずれにしても、従来の行政主体の事業手法では、解決が難しい問題に直面していた。
そこで、検討されたのが札幌市の第3セクターである財団法人札幌市環境事業公社にびん・缶・ペットボトルの選別処理を委託する方法である。