新しい計画では、目標や施策を掲げることが長期総合計画の大きな役割であるとともに、それらの施策の展開の仕方や進行管理の考え方を示すことも、同じように重要であるとの認識に立ち、五つの展開方針を定めている。
具体的には、「パートナーシップ型まちづくりの展開」「地域のまちづくりの推進」「広域的連携の推進」「都市経営基盤の確立と自律性のある行財政運営の推進」「総合的、弾力的な計画の推進」である。
このうち、「パートナーシップ型まちづくりの展開」では、『少子・高齢化が進行し、市民の意識やライフスタイルが多様化する中、行政が提供できるサービスだけでは、ゆたかな市民生活を実現することは困難である。』との認識を示したうえで『まちづくりや産業を担う人材育成を積極的に進めるとともに、市民や企業の社会的活動を活性化することに努める。特に、福祉、環境、防災など、さまざまな分野における地域コミュニティや非営利的な市民活動団体等による主体的なまちづくり活動との連携を強化する。』としている。
また、「都市経営基盤の確立と自律性のある行財政運営の推進」のなかでは、PFIについても言及し、『従来は行政が担ってきた分野の社会資本整備やサービス提供においても、より少ない費用で質の高い効果が期待され、公平性が確保される場合には、民間に対して、事業をその内容に応じて部分的または包括的に委ねていく。』という考え方を明らかにしている。
さらに、施策の体系(各論)の中にも、「新たな視点を取り入れた公共施設の効率的・効果的な配置と維持・管理の推進」という施策の基本方針を掲げ、『施設の多目的化、多用途化、機能の複合化の視点を取り入れる。その際には、民間資本の活用なども含めて、効率的・効果的に進めるとともに、住民主体による施設の維持・管理を進める。』としている。(※1)
以上のように新計画では、これまでの行政主導型のまちづくりから、市民・企業・行政が相互の信頼関係に支えられたパートナシップ型まちづくりへと転換し、札幌の都市としての個性と風格を高めていくことを強調している。
※1 このことについては、「5 本格的なPFI導入に向けた取組体制について」で、さらに述べることとする。
3 札幌のまちの特色
次に、PFIを導入する際、考慮すべき札幌のまちの特色を、三つあげてみたい。