一方、計量検査所については、民間活力を積極的に導入する観点から計量法が改正され、平成5年から「はかり」の定期検査業務の外部委託が制度的に可能(指定定期検査機関制度)となったが、札幌市ではまだ経営的に受託可能な民間企業が現れていない状況にある。
このように、行政と民間の役割分担はこれまでも自治体によって異なり、PFI導入についても、判断が分かれることが予想される。
PFIは、わが国の法体系になかった新しい考え方を含むスキームであるため、事業の透明性・公開性の確保や行政と民間のリスク負担・資金分担のルール化などについては、標準化して全国的に示されることが、導入・普及の促進に不可欠である。
しかし、実際にどのような分野、どのような事業において実現可能性が高いか、あるいは、どのような課題や障害が懸念されるかは、各都市の歴史や特性を十分に踏まえて、検討する必要があると考えられる。
そこで、この小論では、まず、札幌市の新しい長期計画(第4次札幌市長期総合計画)で掲げている、これからのまちづくりの方針について述べるとともに、PFI導入を検討するうえで考慮すべき札幌のまちの特色を取り上げてみたい。
さらに、PFI類似事業として、「びん・缶・ペットボトル選別施設」整備事業等を、結びとして、PFIの導入に向けた札幌市の検討体制とモデル事業(第2斎場建設)について紹介することとしたい。
2 札幌のまちづくりの方針
札幌市では、基本構想に立脚して約20年間の長期総合計画を策定し、さらにその実現のため5か年の実施計画を策定し、計画的、段階的なまちづくりを進めている。
これまでの第3次長期総合計画は、平成17年を目標年次とする計画であったが、さまざまな社会情勢の変化や新たな課題に対応した新しい視点でのまちづくりを進める必要性が高まってきたことから、昨年12月に「第4次札幌市長期総合計画」を決定した。