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2]リスク分担の進め方

まず、考えられ得る全てのリスクを網羅的に特定する。

次に、そのリスクによる損害額、発生確率、その発生の性質(1回限り等)、リスク負担主体として誰が適当か、といった点について評価する。

そして、リスクモデルを作成し、リスク額の推定を行う。

ウ. VFMテスト

見積もり比較のために、従来の公共事業調達方式の組立てによるプロジェクトの費用を見積もる。このプロジェクトを参照プロジェクト(RP)という。

PFIにおいては、適切な公共と民間のリスク分担に基づく民間へのリスク移転が行われるが、この民間に移転できるリスクに起因するコストを見積もり(リスク調整。RA)、この費用を参照プロジェクトの費用に加算したものがPSCとなる。

このリスク調整を加えたPSCが、公共として見積もったPFIコストよりも大きいのであれば、PFIの方が「同じアウトプットをより少ないコストで実現し得る」ために、PFI方式の検討を進めることがVFMを達成できるという結論になる。

(8) PFI推進の主な課題

1]PFI市場の形成

2]リスク分担の明確化

3]従来型の公共事業については、国の補助金等の支援制度が設けられており、PFI方式の場合の取り扱いについての整理が必要。

4]PFI方式では、公共側から民間事業者への長期間にわたる債務負担についての約束が重要であり、この約束に当たっては議会の承認が必要なことから、十分な議会との調整が必要である。

5]PFI事業に参加する民間事業者は経営能力、資金調達、リスク分担、技術等の面から十分な事業遂行能力を持つ必要がある。従って、地場産業のPFI事業の参加のあり方について十分検討する必要がある。

 

 

 

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