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(2) 公共事業評価制度

公共事業のもたらす様々な効果を定量的に把握する手法を開発するため、平成9年に「公共投資の経済波及効果調査研究会」(座長: 黒川和美法政大学教授、副座長: 駒井正晶慶応大学助教授)を設置し、2カ年にわたり調査研究を行ったものである。研究会において、評価手法の適用性の分析や、ケーススタディとして溝口北口再開発事業の評価モデルの開発、異なる公共事業の比較評価モデルの開発、財政制約における事業の最適組み合わせなど、ヘドニック・アプローチによる費用対便益分析とその応用などが検討された。

(3) 計画進行管理・評価システム

総合計画の進行管理と評価を科学的に実施しようとする動きは、比較的早く平成3年頃、当時の企画財政局の担当を中心に議論が進められていた。正式な研究会が立ち上がったのは平成8年であり、計画進行管理・評価システム調査研究会(座長: 斉藤達三高崎経済大学教授)を中心に研究が進められ、平成10年に計画進行管理・評価システムが構築され、試行的運用が開始された。

これは、中期計画事業の成果を毎年度定量的な指標で測定し、その結果を予算編成に反映させると共に、中期計画の進行状況を把握し、効率的かつ透明性の高い行財政運営を図ろうとするものである。進行管理を行うために、事業に対する予算の投入量の指標化や、事業ごとの有効度指標の設定、行政サービス対する需要と供給の関係、事業が地域社会に及ぼす影響等の指標化が図られた。

平成12年現在、図2にあるとおり936事業を対象として、進行管理・評価システムのバージョンアップが進められており、『進行管理・評価表』の改良と予算編成システムとのより密接な関連づけの努力が続けられている。

 

二 PFIなど新事業手法をどう位置づけるか

 

本市における新事業手法の検討にあたっては、PFIだけでなく新たな手法開発も含め、従来型以外のあらゆる手法を検討の対象として類型化し、一で述べた「総合政策評価システム」構築と連携した方策を検討すべきである。

なぜなら、PFIの基本的理念は、民間部門に資金を含む全体のリスクをとらせ、同時に納税者の資金である税金を効率的に活用し価値を高めさせることにあり、リスクの公共部門から民間部門への適性な移転であり、バリューフォーマネー(VFM: 公共資金の最も効果的な運用)の実現だからである。

 

 

 

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