【横島】ありがとうございました。それでは国の組織のスリム化を求めるべきだということについて、どうでしょうか、貝原知事。
【貝原】スリム化という意味では、国、地方を通じてしなければいけない問題だと思いますが、今、行政組織の改正が中央省庁でなされているのを見ますと、むしろ巨大官庁が誕生し、それがさらに権限を強めることになるのではないかと、非常に危惧いたしております。
一時期、国の地方機関を充実するという考え方も示されておりましたが、それはまったく本末転倒でありましょう。近畿地方には財務局や建設局、港湾建設局を始め、いろいろな国の地方機関があります。そういう所が非常に大きな権限を持った場合、その地方機関の責任者は選挙で選ばれた人ではないわけです。そうすると近畿地方の知事・市町村長とその国の地方機関の責任者との関係は、一体どのような形でどちらがどう住民に責任を持っていくのかということになります。国の地方機関の責任を大きくすることは、結果的に、世上考えられている分権のあり方とはまったく逆のことになりかねません。
この分権というのは単に「草の根民主主義を充実しなければいけないんだ」というお題目でもってやることではなくて、現実の問題として「今、日本の政治なり行政で行われていることを是正していくんだ」という側面が非常に強かったはずであります。そのことをしっかりと念頭に置いたうえで、各論的なあり方について議論していかなければいけないのではないでしょうか。
先程西尾先生から、補助金の問題について、地方自治体の方でもそういった各論に入ってきて議論すると、後退するような姿勢だったという批判がありました。そのようなことがなぜ起こるのか、あるいは、そういうことがあってはなぜいけないのかということについて、地方自治に携わる私たち自身が真摯に考え、問い直していかなければなりません。そして、今後の政治のあり方を踏まえつつ、きっちりとした覚悟を持って判断をしていく必要があると思います。
【横島】誠におっしゃる通りだと思いますが、なかなかこれは現実的にはバリアの多い課題でございますので、これからのご努力ということになると思います。
諸井委員長、介護保険に地方分権推進委員会から強いサポートが欲しいというご意見のようにうかがいましたが……。
【諸井】あの問題というのは、どうも私どもが勧告を終わってしまってから出てきたようなところがありまして、われわれの中に樋口恵子さんが委員で入っておられまして、共々に悲憤慷慨をしているのですが、たいへん申しわけないですが、一言申すというところまでまいりません。