【横島】ありがとうございました。西尾先生、合併の論議は委員会でどういうふうにあったのか。あるいは基本的な考え方があるのかということですが。
【西尾】かなり時間をかけて議論された問題です。ただ地方分権推進委員会の出している結論は、市町村の合併は、あくまで関係市町村の合意に基づいて行われる自主合併であるべきだ。強制的に合併が成されるのはもちろんですが、全国強制に近い形で一斉に大合併が政府の音頭で進められるといったようなことは、地方自治の原理に反するのではないかという考え方に立っています。ただあくまで自主合併でありますが、合併が可能な所、あるいは場合によってはその方がいいだろうというような所については、極力合併が進んだ方が好ましいのではないかという観点に立って、積極的に合併を支援していく方策をとるべきだという勧告をしているわけです。
そこでこれに従って政府の地方分権推進計画でも同様のことが書かれましたし、それに基づいて市町村合併特例法が再度改正されまして、現在はそれに従った措置がとられているという状況にあります。
しかし、その間、国会の先生方の中には、かなり大規模な合併を進めるべきではないかという声が非常に強くて、ご承知のように自自連立、自自公連立という政策協定の中でも、「当面目標は1,000だ。中長期的には300にまでまとめた方が好ましい」などという申し合わせが成されているぐらい、政界の中にそういう声があるわけです。
そこで何とか今の市町村合併特例法の枠組みの中で、合併の成果が上がるようにすべきだという空気が、非常に強くなってきていると思います。その結果、自治省から各都道府県に対して指針が示され、各都道府県は県内の市町村の将来の合併の姿について、パターンのようなものを示して欲しいという動きになっているということだと思います。
【横島】はい、ありがとうございました。他にご質問はないですか。
【会場】二つほどおうかがいしたいと思います。地方分権がスタート台に立ったということは、それなりに非常にありがたいことだと思っておりますが、先程貝原知事がおっしゃったように、分権の論議のスタートが国家の組織改革だとか、行財政改革に端を発していたと思います。とすれば分権をしたらそれなりに国の組織もスリムになって欲しい。そうでないと財源も生まれないのではないか。ただ単に業務が地方に分割されて、目的意識が薄れているような気がしてなりません。その点が第一点です。
第二点ですが、地方分権を進める上で介護保険はとてもいい材料だと思っておりました。それぞれの地域が自主的にまちづくりをするうえで、非常に素晴らしい勉強材料だと思っておりましたが、ご覧の通りの進捗でありますし、地方に対してほとんど何の話もないままに、いろいろな改造が成されました。これについて先程山出市長もおっしゃいましたが、私は地方分権推進委員会としても、「もっともっと地方の気持ちをわかって欲しい」という申し入れを諸井委員長からしていただきたかったと思う者の一人であります。