分権というのは財政が伴わなければ行政を進めることができないことは、もうわかりきったことです。ところが限られた財源の中で、分権をするから特別に税財源をこういうふうにしたらどうだというようなことは、今の段階では非常に難しいと思います。だから私は地方分権を進めていく上で必要な財源というものが当然出てきますから、新たな税を設けるか、ということしか考えられません。
たとえば言葉が過ぎるかもしれませんが、消費税の5%を6%にして1%を分権費用の財源に充てるとか、あるいはもっと違った意味で外形の財産で税を掛けるとか、こういったものも今議論されておりますので、これならばと国民の納得し得るような税制をもう少し見直してみる必要があるのではないか。新たな財源を見つけない限り、分権のための必要とする税財源を見つけることは不可能ではないでしょうか。それがまず一点目だと思いますから、現在のままで行政事務だけが移譲されても、なかなかその通りにやれるものではないと思います。事務が移行されればそれに伴うところの財源が同じように移行されなければならないということだと思います。財源の方が少し欠けているような感じがいたしますから、まずそれを考えて欲しい。
それから先程も少し申し上げましたが、町村側に分権量が少ないのは、これからどんどん増えていくかもしれませんが、それはやはり町村の能力を考えて、そのように決められたのではないかと思います。能力主義でこのように考えられたとするならば、極めて残念であると思います。町村も昔と違いまして、人材の確保もできておりますし、専門的な知識を持った職員もかなり養成されてきております。それなりの事務能力は持っていると私は思いますので、ぜひ見直しをしていただきたいなと思います。町村はいつまでも何もできないような低能力の行政体であるという認識があるとするなら、極めて残念です。
もう一つは、私どもは小さな町村ですから、行政能力は高いとは言いません。低いけれどちゃんとやれることはやる。私の実例を申し上げます。先程市長さんから話が出ておりました介護保険制度です。これを運用するために私の県では、72の市町村が広域連合を設立しました。介護保険のすべてをこの広域連合でやることにしております。したがって、足りないところは皆が汗と知恵を出し合っていって、新しい事務にも対応していこうじゃないか、というやり方を考えたわけです。現在まで見込みどおり広域連合が運営されていると思いますし、つい2、3日前も広域連合の議会を開きました。そこで本年度の予算、来年度の予算なども全会一致でご承認いただきましたが、議員の数だけでも144名おります。これはたいへんな数の議員の数ですが、混乱はありません。しかも皆さんたちが非常に建設的な意見を出し合いながら、お互いに前へ進もうという意識の高さで、こういう議論をし、議事を進めております。