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今、住民投票というのは、どちらかというと国がやるべきことについての住民の意思を表している。それはそれでひとつ意味があるのかもしれませんが、これは実は意思決定権にはつながらないのです。参考意見にはなるのかもしれないけれど。たとえば首長さんや議会と住民の利害なり意見が対立するような局面があるとすれば、たとえば合併のような問題ですが、そういう時にあるいは意味があるかもしれない。

 

【横島】そうでしょうね。

 

【諸井】ですから自己決定とか何とか言っても、なかなかこれは難しい話です。先程新井さんがおっしゃったのか、情報公開とか行政の情報化とかインターネットとか、そういう形のものも非常に重要だろうと思います。そういうものを活用して、どう住民の本当の意思を吸収してくるかということが大事だと思います。

 

【横島】ありがとうございました。実は議員の役割というところで、新井さんはかつて市議会議員をお務めだったと思いますが、いかがですか。議員の自覚というか、そういう問題は。

 

【新井】私も今回の地方分権一括法の中では、議会の役割という意味で、横島先生がおっしゃっていたように、置き去りにされたという感じをすごく強く持っています。

私は議員経験ということで、地方議会の果たす役割というのは、立法機能がもちろんあるわけですが、あと監視機能と公開機能、この三つを持っていると考えています。立法機能ということで言いますと、ほとんど議員提出議案ということで立法化されていくということはありません。市区町村の統計というのはありませんが、都道府県全体の統計というものが出ています。過去5年間で都道府県全体で、いわゆる議員提出議案が出されたのが、たった15です。それもほとんどが議員の定数とか委員会の定数とか議会に関わることで、暮らしに関わることというのはほとんどありません。都道府県全体で5年間で成立したのが9ということですから、ほとんど出ていないも同然ということです。立法機能という意味では、果たされていないということがたいへん残念です。

監視機能という意味でも、なかなかできていない部分が多いのではないかと思いますが、最後の公開機能ということに至っては、あまり議員自身で議会の持っている役割として公開機能というものを意識している方というのも少ないのが実態ではないかと考えています。

 

 

 

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