日本財団 図書館


021-1.gif

 

私としますとこれを機会にいたしまして、金沢という私のまちは何といっても歴史、伝統を大事にしなければならないまちです。これを大事にしなかったらまちの存在意義がないというくらいに思っているわけですので、歴史、伝統のまちにふさわしいまちづくりを、住民主体によって進めていく仕組みをつくりたい。こういうことを実は今、考えております。

もちろん都市計画法の枠内に留まるということではありますが、例えて言いますと、住民による地区まちづくり計画の策定を行う。都市計画制度としての地区計画の円滑な導入を行う。それから市街化区域外の土地利用について協定による指導を行う。こういうようなことに役立つための、「まちづくり条例(仮称)」というものをつくってみたいと思って検討しているわけです。これによりまして、少しでも住民の自己責任によるまちづくりであるとか、住民と行政の協働作業によるところの住みよい環境づくり、こんなものが少しでも前進できたらと願っております。

そこで、もう一度介護保険に戻ります。4月からの保険の導入にあたって、保険料は高くていいのか、低い方がいいのか。サービスの提供の量とも関わりますので、その中で行政が説明責任を、しっかり果たしていくことができるのか。また、住民にはしっかりと情報開示ができるのか。このことが問われる。この成否が問われるのが、介護保険の導入ではなかろうかと思っていました。そういう意味でいささか心構えもしていた次第ですが、先送りをされて残念に思っています。

説明責任であるとか、情報開示であるとかについては、行政側の能力、資質の向上が欠かせないわけで、努力しなければいけないと思いますし、基本的には地方の行政というのは、地方としての思考、態度というものを持つことが大切です。難しいことですが、励まなければいけないなと思っている次第です。

同時に付言させて欲しいのですが、分権というは住民一人ひとりの自主判断、そして自己責任によるものです。そうすると住民のまちづくりへの参加意欲、社会、公共への住民の関心、それから住民相互の連帯感、こういうものが前提になるわけです。そうすると、住民のそうした意欲とか意識をどうやって醸成していくか。この啓発とか教育とかいうことも必要になってくるわけです。行政としてはこのことの配慮も忘れてはいけないな、こういうことを実は自分に言い聞かせている次第です。

 

【横島】ありがとうございます。教育の問題にしろ、まちづくりの問題にしろ、あるいは福祉の問題にしろ、それぞれの自治体ではそれぞれ自主決定の前に悩みがたくさんおありだと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION