責任をとっていくための市民参画の形というものを考えた時、三つタイプがあると思います。まず一つは政策決定過程への直接参加ということです。これはいろいろな部分で、審議会とか協議会、諮問機関なので公募制度をとっている所が出てきています。あるいは、映像の方でもご紹介がありましたが、総合計画の策定に大量市民参加のワークショップ形式をとっていくとかということが一つ。それから住民投票制度ですね。吉野川のことで今日出ましたが、ああいう直接の政策決定過程への参加ということ。
もう一つは市民が事業を分担して担っていくと言いますか、そういう部分としてのパートナーであるということの認識。自治体が行うべき仕事、あるいは自治体と市民、企業がパートナーシップ、協働で行っていく事業と、この部分は市民に全部委ねてしまおうという部分とを、きっちり皆さん方の中で整理していただいて、それぞれ役割分担をしてこれから事業を進めていくと考えれば、市民が自治体の中のサービスを担う部分として存在するわけです。
もちろんボランティアという形の参加というのもありますが、そういうような三つのパターンの参加の仕方というものを、きちんと制度として整えていただいた上で、そして「あなたはどれを選択して、どれを取って決定していくのか」ということができて、はじめて責任がとれるということだと思います。
そういう意味では、今日は自治体の職員の方がたくさんいらっしゃっているようですが、これまでの「自分たちが決めてサービスを提供して、市民はそれを受けていくんだ」という社会サービスのあり方というところから、「市民といっしょに政策をつくっていって、事業もいっしょに担っていく。そういうパートナーであるんだ」ということへ意識を変革していただきたいなというのを強く感じています。
【横島】なるほど。では、山出市長にうかがいたいのですが、先程押し付けという言葉が出ました。ある部分、国からの押し付け、そしてある部分は市民からの押し上げ。この間に立って地方自治体はたいへん苦しい立場になってくるわけですが、今の西尾先生のようなご提示の自由裁量部分というのは、十分には見えていない、あるいは、そこにはまだまだ踏み込めない。どちらなんでしょうか。
【山出】率直に申し上げて、はっきりと見えてこない。
【横島】そうですか。
【山出】西尾先生のお話ともいささか関わるわけですが、私もいろいろ思うことがあります。今度の改革で評価したいと思っているものの一つに、「用途地域の指定」という都市計画の決定に関わる事務権限の委譲があると踏まえているわけです。地域の特性にあった用途地域であるとか、あるいは特別用途地域の決定等ができることになります。