日本財団 図書館


こうした問題に関して、それぞれの市町村の教育委員会がどのようにお考えになって、どういう仕組みをこれからとっていかれるか。これは住民参加とも密接に関連している問題であるコミュニティーレベルの問題であるわけですが、それぞれが市町村のお考えで自由にできるようになっているということです。

しかし、これは自由にできるようになっているだけで、「新しい何かをしなさい」と言われているわけではありませんから、「面倒だから今までどおりそのままやっておきましょう」という所は、それで何も変わらないわけです。「せっかくそう自由になったのなら、うちはこうしてみよう」という自治体で変化が起こり出して、住民には「ああ、そういうことが変わり始めたのか」ということがわかるということです。ぜひとも一つひとつ、かなり重要なことが入っていると思いますので、それを生かしていただきたいと思います。

 

【横島】今、西尾先生から一つの例を挙げながら、隠れている裁量の分野がたくさんあるんだというご発言ですが、山本町長か山出市長、どちらでも結構ですが、現場で今のような具体的な行政テーマというのは、検討されているんでしょうか。山本さん、いかがですか。

 

【山本】今のお話ですが、町村ではあまり大して……。われわれは校区と言っていますが、距離がそんなに遠くないものですから、それから人口が少ないでしょう。ですからそれをやったからといって、何か特別なものが出てくるかというと、それはないと思います。

 

【横島】なるほど。

 

【山本】ただし、それがオープンになってしまうということになって、学校の選択権が出てくると、かえって混乱する可能性もあるんです。だから、それがいいか悪いかは別として、意識的に自由になるんだということについては非常にいいことだと思いますが、現実はそうとはいかないような感じもします。

 

【横島】わかりました。新井さん、今の山本町長さんのお話は、地域は違いますが、校区編成というようなことは、市民レベルでは非常に関心の高い問題です。混乱を承知でひとつ新しい校区編成をやってみようかという選択と、このままの方が静かだという選択もいろいろあると思いますが、住民サイドから見るとこういう部分にはどういうご注文が出てくるんでしょうか。

 

【新井】市民が自分たちの暮らし方を選択して決定して、そしてそれに責任を持っていくということなんですが、今の一例で学校のことが出ましたが、選択して決定していくためには、先程言った情報の公開ということと、いろいろな分野での参画の仕組みといいますか、地域づくりの仕組みというものが必要だと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION