加えて介護保険のことですが、地方分権一括法と時期を同じくして実施されるということからして、分権の試金石と捉えて、新しい制度の円滑な実施に向けて私なりに努力をしてきたところですが、先般「介護保険特別対策」なるものが決まりました。法律の外の扱いということになりました。市長会への十分なお話もないままに決められたようでもありまして、言葉は激しいかもしれませんが、お仕着せの感が拭えないわけです。しかも一部の対策についてだけ「市町村の裁量による」とあるわけで、いささか当惑をしているということです。
私は分権というのはあくまでも地方の立場に立った国の思考、態度が基本であるということをつくづくと感じます。分権はそういう意味で実行段階に入ったというよりは、スタート台に立ったばかりだと考えたいと思っております。そういう意味で私は以下の三つのことを申し上げたいと思います。
一つは国の思考、態度が改まって欲しいということです。一例を挙げますと、地方の声を率直に聞いていただいて、地方の実情を知っていただいて、それを十分に踏まえて地方が関わる制度の企画、立案にあたって欲しい。同じことは政治に携わるお人にもお願いをしたい。
二つは、地方分権一括法の趣旨、内容につきまして、名実ともの進行管理が確実に担保されて欲しい。つきましては地方分権推進法の期限は、ぜひとも延長して欲しいと思います。
三つの点ですが、地方分権を着実に進展させ、定着させてまいりますために、一層の権限の移譲等につきまして、今後も不断の取り組みを続けて欲しい。こうした件をこれからも地道にお願いしてまいりたい。このように思う次第であります。
【横島】ありがとうございました。多くの自治体の今の思いを、山出市長が代弁されたように私はうけたまわりました。さらに自治体が小さくなると、この問題はさらに深刻になります。添田町長の山本さん、いかがでしょうか。
【山本】この分権は主だった見方をしますと、今の行政の制度疲労がきて、分権をしなければならなくなったのかなとか、そういうような感じさえするところがあります。しかし、そういうものではなくて、新しい時代のためにつくられることになるんだろうと思いますので、われわれとしてはそういう受け止め方をしていきたいと思っているところです。
ただし、まだまだ、今、入り口にかかっただけですから、どうなる、こうなるということは申し上げられません。ただ私ども町村にとっては、移譲される権限が7項目しかありませんので、あまり大して変わりはありません。しかも、現在それらの事務については行っておりますから、特別にそのために新しく事務機構が変わったり、それから新しい分野が開けていったというような感じはいたしません。
そこで私たちは思うのですが、せっかくこういう分権を進めていこうとするわけですから、本当に町村が自立できて、しかもきちんとやっていけるような、そういう分権をすることの方が望ましいのではないか。それを私どもは願っていましたが、極めて残念なことに、未だにそういうところまで到っておりません。