英米では、特にまちづくりの分野では、きちんとそういうことが法律の中で「情報の周知手続」ということで、非常に細かいやり方にわたって保障されているということがあります。日本では全然そういうことがございません。また法律を改正するとか作るというのはたいへんな作業になりますので、ぜひここにいらっしゃる自治体の方々の手で、その条例の上乗せ、横出しということで、そういう文をうたっていただければ非常にありがたいと思っているところです。
【横島】どうもありがとうございました。「市民力の開花」という新しい言葉が提示されました。たぶんこういった言葉がこれからの時代、たいへん大切になってくるんだろうと思います。委員長の全体集約と市民サイドのお話。大きく包み込む枠をつくっていただきましたお二人のあと、次は貝原知事にお話をうかがいます。自治体の現場からのお話としてお願いしたいと思います。
【貝原】先程の映像で地方分権への歩みの紹介がありましたが、そのスタートとなったのは衆議院と参議院の分権決議であったといわれておりました。まさにその通りであります。なぜそうなったのかを、分権にずっと携わってきた者として振り返りますと、基本的には政治改革の一つとして取り組まれたのではないかと思っております。
ご承知の通り、その当時議論されておりましたのは、政・官・財のトライアングルとか、本当に必要な国策について政治が応えているのかどうかということでありました。そうした議論のなかで、小選挙区制、つまり、政党政治を中心とした政治構造にもっていかなければならないということになり、政治資金として、公金を政党に対して交付する政党助成法までできたわけです。この考え方というのは、国民が国策としてどのような政策を選択するかについて、選挙を通じてわかりやすく自己決定ができる仕組みをつくっていくことにあったと思います。
そうなりますと、逆に国策以外の部分、内政に関わる、あるいはそれぞれの地域に関わる問題は、地方自治の分野であり、その地に暮らす人々が地方の政治の中で選択することになっていくべきではないかと思います。
今回の中央省庁の再編も、先程申し上げましたような流れの中で政策選択がなされたわけです。できるだけ中央省庁は中央政府の国策に関わる部分を担当することにしよう、それ以外の部分は地方自治体が担当し、地方の政治の中で政策選択を自己決定、自己責任という形でやってもらおうということなのです。しかし、その基本部分がどうも曖昧になったまま、議論されることが非常に多いものですから、私としてはこの地方分権も日本の政治のあり様を大きく変えていく一つの大きな要素であるということを常に念頭に置きながら、議論していく必要があるのではないかと思っております。