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【横島】ありがとうございました。基本的には長い時間、精力的な審議をされた委員会のリーダーとして、今の思いを淡々と諸井さんはおっしゃっていましたが、それなりの思いがこもっていたと思いますし、「よろしく。皆さんバトンタッチだよ。」というようなメッセージとも受け取れるわけです。

その対極で最後におっしゃったように、住民が自らの地域をどう治めていくか、ということがたいへん大切だということです。次のお話は新井さんにお願いいたします。

 

【新井】東京ランポの理事長をしています新井美沙子と申します。よろしくお願いいたします。

東京ランポは「東京ローカルアクションNPO」ということで、東京周辺で活動しているNPOの支援をするために創られた団体です。正式に発足しましてから丸5年が経過して6年目に入りました。東京辺りでまちづくり活動をしている方には、まちづくりといいますと東京ランポと連想していただけるようになってきたのかなと思っているところですが、まだまだたくさんお人が集まる場合には、「江戸川乱歩の後援会ではありませんよ。」というところから始めないといけないような団体です。

本題に入りますが、分権ということで何が変わっていくかということです。私はまず一番初めに大きく変わっていくのは、これまで行政がサービスを提供して、そして市民がそのサービスを受けるといった一方通行のサービスの提供という社会構造が、大きく変わってくるだろうということを一番感じています。

身近なところでもさまざまなNPOが活動し始めました。自分たち自らが地域の中で「共感」という軸を持ってネットワークを広げながら、自分の自己実現を含めて地域で働く場を見つけていく。それがNPOのあり方だと思うわけです。そういったNPOを始めとする市民の力「市民力」というものが開花してくるのが21世紀ではないか、と思っています。日本はまだまだこういう力が小さかったわけで、欧米と比べるとそれを支える制度というものも非常に少ないわけですが、大きく花開いていく時期になるのではないかと感じています。

今回も地方分権推進委員会が国の方でつくられまして、本来ならばボトムアップで地域の自治意識というものを高めながら、分権というものが進んでいったらいいなと感じていましたが、トップダウンの分権ということになってしまって、それがちょっと残念な気が一市民としてはしております。ただ国から都道府県、そして市町村へという権限委譲の中で、今回からは地方分権一括法案も通りまして、自治体の中で市民への分権と言いますか、タテの分権からヨコの分権ということに大きく力を入れていただいて、市民への分権ということを実施していかなくてはいけないのではないか、と思っています。皆さん方のお力が非常に必要かと思います。

二番目の方で自己決定、自己責任ということの話に入りますが、その前提として非常に大事ではないかと思っているのが、情報公開(ディスクロージャー)です。情報公開法が通りまして、各自治体でも情報公開条例ができて、説明責任ということでアカウンタビリティーがうたわれている所も出てきているわけですが、あくまでも情報公開法というのは、そこにある情報が存在するということを市民が知って、それにアクセスするための法律なのです。一市民の立場で言いますと、そこにそういう情報があるということすらわからない状態に置かれていることが非常に大きいわけです。ですから情報を持っている国、あるいは自治体の方々は、自分の持っている情報を自発的にディスクローズしていく姿勢というものを持っていただくということ、それから姿勢を持つことと同時に、説明責任、ディスクローズの姿勢を、条例の中で制度化していくということも必要なのではないかと思っています。

 

 

 

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