あるもの貸してくださいよ。事務所もいっこも金がありませんから建てれません。シャワー室も温泉も、ただガラガラの温泉、しゃあありません。民宿はどうですか。ほんとに民宿建てて、牟岐来る人少ないじゃないですか。スキューバというものをひとつのきっかけとして、少ない寂しい民宿をね、ちょっとでも賑やかにしませんか、今日は少年自然の家の所長さんがお見えですが、少年自然の家の子ども達にも協力して、スキューバと。たとえばエデュケーションツアーみたいに、海の中を舞台にして、学習とか教育をやってみませんか。あるものがたくさんあるんです、牟岐には。そういう無駄をしているから無駄をないように私たちで組みませんかって、こういうことなんです。で、肝心の漁業にいきます。漁業も漁業者がプラスにならなかったら絶対、うんと言ってくれません。どういうやり方をしますか。
今、立松さんおしゃられたように、どことも漁師さんは資源もそうですが、魚価安ってことなんです。これを何とか支えていかなければならない。漁師さんは船なければ捕れないんです、沖行けない。船が遊んどるんですよ。この船を漁船じゃなしに、客船に使えるんです。通船といいます。だから、今あるものをプラスアルファじゃなしに、別角度からどういうものに生まれ変わることができるかということを考えて全部をひっくるめた中でですね、地域と共に誰も真似のできない物を作りたい。というのが私の考え方です。
地域・産業・自然・人間
これらの関わりが、生み出す調和
藤岡−どうもありがとうございます。ちょっと私も口を挟ませてもらいますと、立松さんがおっしゃいました、「第一次産業が元気でないと環境どころではなくなる」と、こういう話なんですが、全くその通りだと思うんですね。また、兼業農家がかろうじて農業を支えていると、これも確かにそうなんですね。
私、新聞記者として農林水産省というのを担当したことがありまして、農政かなり取材したほうなんですけども、日本の農政の農業に対する考え方というのはちょっと違ってるところがございまして、農民という選挙の票を抱えている人を対象にした政策とですね、国民の食料を生産する産業としての農業をどうしたらいいのかということと、ごっちゃにして、どちらかというと、票のほうを大事にして農政が展開されてきておるというようなところがございます。
現在の世界の経済情勢の中で日本の農業を守るというのは大変に難しいことであるのは確かなんですね。特に中山間地域といわれるところ、農業生産するのにしても傾斜もきついし、水利ももうひとつだし、運ぶのも大変だというようなところで、農業だけで生活を立派にたてていくというのは大変なことだと思います。それに対して、どういうことが今、行われているのかと言いますと、中山間地域で5年間続けて農業をやると手を挙げた人には、「10アール当たり、年間、21,000円お金を差し上げます、だから農業を続けてください」と、まあそういうような政策が来年度予算に計上されて、来年度から実施されようとしている。これはヨーロッパの真似をしたわけでありまして、一番最初はイギリスなんですけれども、イギリスでは条件不利地域と、そこで羊を飼う、あるいは小麦を作るというような人には政府からお金を差し上げるというやり方をとっているわけですね。あるいは、それがずっと発展しまして、フランスやドイツでは農村の景観、風景を守るために、どうしてもその地域から農家が撤退してもらっちゃ困ると、だから農村の景観を守るために補助金を出しましょうというやり方をやっているわけですね。