藤岡−千賀先生、先生のご専門に近いところでもありますけれども、一次産業と自然環境の関係、それと我々の関係というようなもの少しお話願えたら。
千賀−今、井元さん、スキューバダイビングをやろうというお話。それから立松さんのお話伺ってて。いわゆる都市と農村といいますかね、あるいは農漁村−漁村も含めて農村と私、言いますけれども−との関係がですね、変わりつつあるんだろうと思うんですね。これまでは農村から農産物あるいは水産物を都市に送って、都市の市場、マーケット、市場でお金に換えるという関係だったわけですけれども。スキューバダイビングあるいは農山村なんかでもグリーンツーリズムなんてこといってますけども、これは逆に都会の人たちが農村に行って、漁村に行って、そこでいろんな楽しみをする。そりゃ、食べるのもありますよ。農産物をそこで食べるのもあるし、そこの人と話すのもあるでしょう。それからいろんな文化に触れるのもあるし、あるいは手仕事でいろんな、その、例えばわら細工を作るとかですね、木で何かを作るとか、そういう細工の経験、体験ができるとか、あるいは馬に乗れるとか、海に潜れるとか、そういう、そこでしかできない楽しみをそこで味わう、そういうことがこれから大事になってくるんだろうと思います。つまり、農村そのものがマーケットになっている。これは、あのうっかりすると危険なんです。うっかりすると、売らんかな、でひどい状況になりかねないわけです。
たとえば、バブルのはじけるときには、おおきなリゾートマンション、リゾートホテルを造ってですね、ゴルフ場を造ってスキー場を造って自然破壊してってことになってたわけですけれども、そうではない形でそこで一次産業が営まれているその姿をそのまま、あるいはその姿に都会の人達がとけ込むような形で楽しんでもらう。そうなってくるとですね、いろんな可能性が、僕はでてくるんだろうと思うんですね。そのためには、しかし、楽しみ方あるいは楽しませ方に相当大きな工夫がいる。それがさっき井元さんが言われたスキューバダイビングということだと思うんです。ただ、うっかりするとスキューバダイビングと聞きますと、何か大きな船でね、ヨットの大きなもので若者がやってきて、大きなラジオをガンガン鳴らしてゴミを捨てて帰っていくような感じもないでもないけれども。そうではなくて地元の漁師の方がそこで都会の人と触れ合いながら、魚っていうのはこんなふうに生きてるんだよ、とか、今、海がこんなに荒れてる、汚くなってるんだよ、とかそういう学びの場を提供することも新しい意味でのスキューバダイビングの楽しみなんじゃないかなと思いますけどもね。