地域の産業と自然との深い繋がり
毎日、海に出て行ってですよ、海の状態、海流がどうだ、魚がどうだ、全部チェックしてる。藻場がどうなってる、海の底がどうなってる、全部わかってるわけです。で、魚が捕れるかどうか一番敏感ですね。魚がいるか、いないかで、だいたい分かりますから、海の力があるかどうかっていうのはね。で、やっぱり大地の力、このあいだ、93年、冷害でしたね、このあたりは大丈夫でしたか。東北地方で僕は米作っておったんで、壊滅的な、ほんとうに、一粒も米がとれない田んぼなんて、皆さん見たことないでしょう。今年は危ないですよ。雪が少ないんですよ。本当に少ないですよ。白神行っても少ない、青森の人たちも「今年、冷害でないべか。」っていうふうにちょっと心配してる。冷害とかそういうのはしょうがない。天然、自然のことはどうにもならないんですが、農業が崩壊していくっていうかね、村が成立しなくなっている。−ちょっと話が長くなってごめんなさい−僕が今の日本の農業で思っているのは、兼業農家ですから、その兼業農家を守っているのは何かっていえば、建築業のゼネコンですよ、もう一つは役場の人、自治労ですね。
それともう一つ、学校の先生、この三つの職業が、主にですよ、象徴的に言ってるんです。この三つの職業の人達が村に残って、農業を守ってると思ってるんです。そんな感じ。もちろん北海道なんかは専業の40ヘクタール50ヘクタールやってる立派な専業農家なんだけども。そういう農家が食えなくなってしまったら、それ、自然の力も何もなくなってしまって、外国から農産物買えばいいやって話じゃなくなってしまうって気がしてましてね。ちょっと飛躍しちゃうんだけども、みんなで農園を作ろうかってね。僕らがやったって、僕は農水省の人間でもないし、単なる在野の一民間人だけども、僕らの仲間とですね、ちょっと農園を作りました。3年くらいになるのかな。そして自分たちの思い通りの農業、有機栽培で野菜を作り、北海道ですから米はできないんだけども、知床は200万人お客さんの来る観光地でそこのホテルに入れる野菜を売ったり、魚がですね、3〜4年前に極端に1キログラム鮭が7円ですよ、キロですよ。持って来たいですよ、僕はここに。
キロ7円ってのは1トンで7,000円ってことですよ。これでは油代にもならない時が何度もあったんですね。これではもう漁業してもできないんじゃないかと思って、それをとにかくもっとうまく加工して東京の消費者に高く売ろうって、僕は東京の消費者と繋いでる、消費者団体なんですかね、そういうところに卸す農園を細々と、まだ赤ん坊で、まだ言うほどのものではないんですけども、"知床ジャニー"っていう農園を作りました。で、蕎麦を作ったりしてね、楽しい第一次産業っていうんですか、明るく楽しい第一次産業をやりたいなあと思って、今やってんですよ。で、決してうまくいってないんです。去年は消費者団体から注文がきて、鱒のいくらのしょうゆ漬けって注文がきて、「はい、作りましょう。」ってだいたいできそうになったら、向こうのほうでO-157がでましてね、全部ぽしゃりましたしね。なんか難しい、うまく報告するほどのものじゃあないんだけども、僕の夢としてはですね、大地に根ざした産業が、それぞれが元気でね、地方が徳島は徳島で元気で、北海道は北海道で元気で、うまいものをいっぱい食べて、そこに働いている人がふるさと自慢で、海は豊かで、大地は実りの大地でっていうのが夢なんだけども、なんかそういうことの危機感を僕は正直、感じてます。ちょっと話、ずれました。すみません。