野生の動物はパンツをはかない。
衣を着るのは人間だけです。
人間はいろんなことを武装して
自分の能力以上の力を持って生きていく。
ぼくはね、あっちこっちに旅をしてですね、動物も見ます、鹿も見ます。モモンガは見られなかったけれども、いろんな生き物を見ます。このあいだ白鳥を見ました。丹頂も見てきました。エゾシカも見てきました。秋には熊も見ました。ヒグマも見ました。いろんな生き物を見てきましたが、野生の生き物はどの一匹たりともパンツをはいてないですね。パンツはいた鹿なんか見たことない。真っ裸ですよ。木も虫も草も魚も鳥も獣も全部あるがままの姿で、そのままで生きている。身を包んで、衣を着るのは人間だけです。人間はいろんなことを科学で武装して、寒ければこうやって着るし、暖房する、火を焚くわけですね。そして自分の肉体的な身体的な能力以上のところ、能力をもって、生きていくことができる。ところが他の野生の動物というのは自然の摂理のままに、自然の摂理の中でしか生きられない。草は春芽が出て育って、春先に花が咲いて、夏茂り、秋は実をつけて死んでいくという自然のサイクルの中で生きているわけですよ。どうしても真冬に花が咲きたいと思う草というのは、まあそういう種類はあるわけですけども、普通のサイクルで生きていく草で、どうしても私は真冬に花を咲かせたいという草はないんです。人間がね、ビニールハウスなんかで作って花を咲かせるっていうことはあるけどもそれは騙しているんですよね。だけれども、みんな自然の摂理の中で、従順に生きているわけです。そしてその自然というのはすべての生き物に平等に働いているわけです。
自然の摂理の中で、
生き物は平等に働いています。
自然には、無駄がないんです。
僕は、子供と一緒に山に入るのが大好きです。山に入りますとね、いろんなことが見えるんですよ。我々の生きていく生き方のモデルがすべて自然界にあると思ってるんですよ。ちっちゃな子供と山に入って、みなさんにもやってほしいんですね。僕の子供はだんだん大きくなっちゃったんで、もう二十歳過ぎてしまって親を馬鹿にする世代になってしまったんで、よその子を借りていくんですけども。べつに誘拐するわけじゃなくて楽しむわけですよね。山入って、自然の森です、自然の森はいったいどうやってできてきているんだろう、と子供と見るわけです。地面には苔が生えてますね。草が生えてますね。そしてドングリが落ちて芽が出てますね。灌木があって、中くらいの木があって、うんと大きな木がある。また地下の世界には、これは人間の目には見えにくいけれども微生物の世界がある。で、森は棲み分けをしているわけです。いろんな草が棲み分けをしている。