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すばらしいですね。とてもきれいでね。そして、ミズナラとか桂とか春楡、そういう広葉樹は葉っぱを落として裸木で、じっと耐えているような感じ、それからエゾマツ、トドマツ、とってもいいですね、向こうの針葉樹はね。きれいでね。そしてエゾマツの根元に入りますと雪がフワフワしてるんで踏み固めて根元に入るんです。幹を背中にしてしゃがんでいると、枝が屋根のひさしみたく、拡がっているでしょ。あの下にいるとね、なんだか、こう、不思議な所にいるような感じでありました。

その森でね、木の穴を見つけまして、これキツツキが、クマゲラとかアカゲラが、キツツキが掘った穴です。それに雨水が入って中が腐って広くなっているんでしょうね。そしてその周りにモモンガのウンチが落ちている、糞が落ちているわけですよ。あ、これ、モモンガがいるなあと思って、三匹、四匹かたまって暮らしているんです。暖かいからでしょうね。そして冬は寒いですから、まあ他の動物もなかなか捕れない、それとモモンガの天敵というのはヘビです。ヘビがスーっと穴に入ってきて、全部食べてしまう。モモンガってのはねえ、12cmくらいのねえ、ちっちゃなネズミのような、空を飛ぶやつです。空を飛ぶんでも、羽ばたいて飛ぶんじゃなくて滑空するんですよね。まあ、ムササビの小さいやつですね。重さ100g位しかないんですよ。それが冬はヘビが来ないもんですから、ずいぶん低い所の穴に、キツツキの穴に入っているんですね。これは、夜行性−弱い動物はたいがい夜行性ですから、夕方の早いうちにきっと姿を現すなあ、と思ってずーっと待っておったんです。二時間経ってました。雪の中に、木を見て。うすーく懐中電灯の光をたてて。そしたら全然、音沙汰がなかったんですね、ウンともスンともなくて、ただ呆然と。マイナス20度よりもっと下がっていたと思う、計ってないですから、ものすごく寒くて凍りました。凍ってしまって、風邪をひいてしまいました。今の咳はその風邪のあれだったんですけども。

 

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