日本財団 図書館


だけど県も取ったわけだから、私なりに考えてみるということになりますと、環境問題への取り組みは、地方自治体でも企業でも非常に大事であるし、その取り組みを広めたり進めていくことはこれも大事なことである。行政も一つの事業体と考えると、他に見本を示すというんでしょうか、先導的役割を果たす、あるいは企業に対してもリーダーシップを発揮できるということが大きな期待される効果ではないかということです。そういう意味では地方自治体が取ることも、うなずけるなというふうに考えました。

○石 では大熊さん、国はどこかの機関でISOをとりましたか。

○大熊 一つ事例がございますのは、通産省の出先であります中部通産局、ここが既に認証を取得しております。

実は私どもの方も、これはあくまでも実験的という位置づけなんですが、ISO14001人に普及するのはいいけど、自分でやってみないと詳しいことはわからないという面もございまして、側面的には限られたオフィスの活動に伴う直接的な影響中心になると思いますが、やってみようということで準備を進めてございます。

 

036-1.gif

 

○石 一般国民へのこのISOの波及効果というのは何か考えていらっしゃいます。

○大熊 そうですね、一般国民と申しますか、波及効果ということでは二つあると思ってございまして、ISO14001、先ほどもお話ございましたように、とにかく経営の中心に、大体環境というのは今まではおまけだったわけですが、これを中心に組み込むということで非常に効果があると思うんですが、さらにそれを世の中全体を変えていく力にしていくには、今の石先生おっしゃった波及効果を出すために、我々としてこういうこともやらなきゃいけないなと思っているのが二つございます。

一つは、情報の公開でございまして、ISOの14001だけでは取り組みの内容は外から見えないんです。どこまで何をやっているかと。その結果、どこまで効果が出ているのかがわからないと。経営者がこうやろうとしていますというのは方針として出るわけなんですが、最後のところがわからない。最近大手企業中心ですが、環境報告書という形で、具体的に何をやっていて、どういう結果になっているかというのは、数字も含めて公表するという動きが出てきております。ヨーロッパでは、詳しくは申しませんが、EMASという仕組みがございまして、そういった結果を公表するというところまで含めた仕組みがございまして、そういうのも参考にして考えると、やっぱり結果をオープンにしていく。それを消費者なり、周辺の住民なり、場合によっては企業に投資をする人たちが見て、だんだん企業を選んだり、企業と意思疎通を図っていくという世の中になっていくともっと広がっていくのかなと。

あともう一つは、ISO14001は決してそれほど難しい仕組みではないとは思うんですけれども、ただいかんせんやはり環境対策今までそれほどやったことがないという企業の方がいきなり取り組むのが難しい場合もあると思われます。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION