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あのときは物不足からくる節約だったんですが、当時のパンフレットを先日取り出して見てみたんですが、今の消費者アピールと全く内容が同じなんです。例えば買い物にはレジ袋を断わって自分の買い物袋を持っていこうとか、再使用や不要品交換を進めようとか、ごみはなるべく再生できるものはリサイクルに回そうとかということが、いま言われていることと全く同じです。買物にはエコバックとかマイバックを持っていこうというのが当時はふろしきを持っていこうというふうになっていましたけれど。あのときの呼びかけといいますか、アピールをもし少しずつでも私たちが実行し続けてきていれば、ごみ問題も環境問題もここまでは来ていないんじゃないかというのを私は今痛切に感じています。当時は節約論から端を発しましたし、今は環境問題からでちょっと動機が違うということはありますけれども、消費者のとるべき行動は同じです。もの不足と今の環境問題のそのちょうど中間に私たちはバブル経済を経験しましたか、今のように問題を大きくしてしまったのはバブル期に一番大きな原因があるんじゃないかというふうに私は思っております。

 

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○石 野辺さんはずっと県民の方や消費者の方と接せられていて、私自身も感じとして、例えばごみに対する感じ方がこの数年随分変わったような気がするんです。つまり各県とも何かごみの総量が減り始めた。これも不況と言えばそれまでの話なんですが、そういうのごらんになってどういうふうに県民あるいは一般の消費者が変わっているような印象受けられていますか。

〇野辺 ここ二、三年かどうかはともかく、少なくともリサイクル率が非常に高まってきているのは確かです。こ承知のとおり、昨年、一昨年あたりというのは古紙の低迷だとかがあって非常に難しい時期はあったんですが、リサイクルが着実に進んでいることは確かで、それはいわゆるリサイクル法が機能してきたというのが大きいのかなと思いますし、長年の啓発活動の成果もあるかもしれません。さらにダイオキシン問題というのもかなり影響しているのかなと思います。みんながこれだけごみについて注目集めてきているというのは、やっぱりダイオキシンが引き金になっているのかなという気がするんです。要するに焼却に対する警戒心というか、そういった意識が全県下に広がって、ごみをいかに減らすか、元からどう減らしていくかというのがこれだけ高まってきたのは、ここ二、三年かなという気がいたします。

○石 私も、なぜ環境問題がいろんな形で動いていくかっていろいろ調べたことがあるんですが、何か1回パニックを通らないとなかなかうまくいかないという面が残念ながらあります。今回、特にここはダイオキシン騒動の一つの震源地になったわけですから、それが大きくやっぱり関与したということですか。

○野辺 ええ。ほとんど毎日ダイオキシンの記事がない日はないほどです。テレビにしてもマスコミにしても。

要するにダイオキシンの問題ももちろんですが、ごみに対する意識も浸透してきたというふうに思います。

 

 

 

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