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これは家畜のえさなんです。それまでは南米沖のイワシを使っていたんですが、不漁でイワシが全くとれなくなったら、家畜のたんぱく性の飼料をどうするかというんで大豆に転換されたんです。ですから、それまでブラジルほとんどつくっていなかったのが、今世界で1位、2位を争う大豆の大輸出国になりました。ここに日系の方いらっしゃいますが、もちろん日系の農業の方は皆さん大豆つくるの得意でありますから、1区画が1,000ヘクタールとか2,000ヘクタールという巨大な大豆畑が地平線まで広がっています。全部大豆畑になってしまったわけです。これももちろん実を搾って大豆油として、あるいは搾りかすを今度は家畜のえさとして日本に大量に入ってくるわけであります。

次お願いします。これは使用前はないんで、使用後だけでありますが、日本の隣の中国に黄河という大河川があります。長江に次ぐ中国第2の大河川であります。もう頻繁に洪水を起こして、ある意味では中国の人を泣かせてきたわけでありますが、この中流域であります。本当は水はここまであるはずなんですが、こんなに水が枯れちゃっています。何でか水位がやけに下がっているわけです。次どうぞ。途中から川幅がふだんのもう数分の1になっちゃっているわけです。これもと川だったわけですけど、全部これ中洲になってしまって、川幅こんなに狭くなっています。さらに、下流の山東省おりてきます。次どうぞ。でも、途中で船が動けなくて座礁しております。ここまで水位があったんです。ここまで水位があったんですが、今はこれだけ水位が下がっちゃって、水量は恐らく全盛期の数十分の1しかないわけであります。次どうぞ。それで、これが山東省のとこなんですが、ここで黄河がとまっています。この後700キロにわたって何もない砂の帯が続いています。つまり700キロというとどのぐらいになりますか。日本で一番長い川信濃川ですが、信濃川の3倍ぐらいの距離の川が水が全くなくて、単なる砂の帯になったんです。それ水がなくなっちゃったんです。あの大黄河で、要するにもう日常的に水がとられてしまう。中国では断流、流れが絶えると言いますが、断流が起きるようになって、だれも想像もつかなかったことですが、最近頻々として起きています。理由は簡単で、この上流域で全部農業用水のために水を抜いてしまうわけです。ですから、中国は非常に最近農業がここんとこうまく農業政策拡大をしております。二、三十年前には、中国では大飢饉が起きるに違いないといってみんな中国の大飢饉を予想していたんですが、それが今やアメリカを抜いて世界最大の農業生産国になりました。そのために膨大な農業用水が必要です。例えばお米を1トンつくるのに農業用水が4,000トンぐらい必要です。そのぐらい穀物というのは水の塊なわけです。というわけで、農業用水の結果、ついに黄河は空っぽになってしまったわけであります。

次どうぞ。中央アジアにアラル海という世界で4番目に大きな湖があります。これは元アラル海であります。船があるの見えますでしょうか。これ船であります。ここら辺が湖岸なんですけども、岸から水のあるところまでは何と150キロぐらい湖岸から水が後退してしまったわけです。もう砂漠みたいになっています。この周辺は、旧ソ連が物すごい力を入れて農業開発をやって開墾した土地であります。その結果、湖に流れ込む川の水を途中で全部抜き取って農業用水に回してしまったわけです。ですから、このように湖が急激に沈んだ。余り急に沈んだもんで、船が逃げる場がなかったわけで、船が点々と取り残されています。次どうぞ。これはもとの島でありますが、湖の中の島が今は何と山になっています、水なくなっちゃったわけでありますから。冬ですから、かなり雪が積もっていますが、この近所へ行くといっぱい貝殻が落ちていますから、ああ、昔湖だったな、昔といったってせいぜい十数年前まで湖だったんだなということがわかるわけです。

 

 

 

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