これは20年前のボルネオであります。今も一部残っていますけども、ボルネオ島っておわかりですか。マレーシアにある。世界で4番目に大きな島ですが、これだけすばらしい熱帯のジャングルが広がっていたわけです。これ20年前です。現在です。次お願いします。同じ場所であります。こんなふうに変わっちゃいました。これは森林を焼いて、はぎ取って、畑にしているわけです。次お願いします。この畑というのは、これ空から撮ったもんでありますが、全部アブラヤシと言われるヤシの木でありまして、このヤシの木の実から大変優秀な油がとれます。次どうぞ。これヤシの実なんです。こういう実がなります。これを搾りますと大変良質な油がとれまして、皆さんは前は中性洗剤けしからん、合成洗剤はお肌にも地球にも悪いといって皆さん反対なすったと思います。今実際に買いに行きますと、植物油石けんとか、ヤシの実石けんとか書いてありますが、ヤシの実石けんのヤシがこのことであります。ですから、私たちは石油系の洗剤から植物系の優しい洗剤にかえたはずでありますが、その植物をつくるために、この一つ前のフィルムのように東南アジアを中心に膨大な森林が焼かれて、開墾されてヤシの木畑に変わっているわけであります。
次どうぞ。これはタイでありますが、ここは世界遺産にも指定されておりますタイ中部のファイ・カ・ケンという場所であります。アジアでは最も自然度が高い森林と言われておりますが、これを撮ったのが、これも20年近く前でありますが、これだけすばらしい森林が残っていました。この中には、アジア象であるとか、今や絶滅してしまった動物がたくさんすんでいたわけであります。次どうぞ。現在は、同じ場所がこのように全部丸裸であります。森林が全部はぎ取られて、ほとんど木が見当たりません。人家の近くにあるだけです。実際もっと近づいてみますと、次どうぞ。このように全部これはトウモロコシの畑に変わっております。このようなタイやインドネシア、マレーシアの山奥でも、今はこの10年間消費革命が起きました。どんな山ん中に行っても、実はカラーテレビを見ない村はありません。皆さんそれはテレビはおもしろいわけでありますから、タイの田舎行けばみんながもうタイ式ボクシングに熱狂して見ておりますが、実はこの農家が買うためには、お金はないわけです、日本と違って。ですから、一番手っ取り早い現金収入は、まず木を切り払って売って、その後にトウモロコシ畑、これは家畜のえさ用であります。日本が世界最大の輸入国でありますが、主として日本向けにトウモロコシをつくるわけであります。このために木が焼かれてしまうわけです。
次どうぞ。これはインドネシアのマングローブ地帯です。マングローブというのは、海岸地帯に生える特殊な亜熱帯の森林であります。日本では沖縄にあります。非常に不思議な森林で、タコの足のようにぶすぶす木を出しまして、海岸を覆って高潮から守ったり、非常に複雑な根っこの中で多くの生き物たちが生息する。特にエビとか魚が多いんですが、これは1973年、25年前に私が住んでいたインドネシアの村であります。次どうぞ。それで同じ場所、これ10年前であります。10年前にはここ掘られまして、池ができております。この池は実はエビの養殖池です。エビがたくさんこの根に卵を産みつけに来ますから、ほうっとくと中の卵が育って、勝手にエビが育つわけです。皆さんがよくスーパーなんかで買っている冷凍エビという経済的なやつは、パジャマみたいなしましまのエビがいますが、あれはタイガー、トラのエビですね。タイガープローンと言いまして、このあたりでつくっているわけであります。