中にいるカエルは気がつかないままにゆで上がってしまうという表現でありますが、私たちはちょうど少しずつ、少しずつ加熱されているのに気がつかないカエルのような状況にいるんじゃないだろうかということが、私は最近よく思うわけであります。最近の国連のデータによりますと、全世界の死亡原因、全世界で死ぬ人の25%、4人に1人は環境汚染が直接、間接的に影響を及ぼしていると言っています。毎年1,100万人もの子供が、汚染された飲み水、あるいは大気などによって亡くなっているということも書いてあります。この日本で公害が遠くなったような気もいたしますが、東京都内で公害認定患者は3万人います。日本全体では7万人もまだ公害病認定患者がいるわけであります。それ考えても、私たちの環境汚染というのは決して遠くに行ったわけではありません。それ以上に、最近皆さんがさまざまな形で恐らく心配なさっている環境ホルモンであります。それから非常に近年温度が上昇しております。特に昨年は、140年の観測の歴史の中で最高の温度を記録したわけであります。ことしも多分文句なしに昨年を上回り、また史上最高温度を記録しそうでありますが、刻々と地球の温度は上がっております。その結果、例えばマラリアとかデング熱といった熱帯の病気の範囲がさらに今広がってきております。そういうことを考えてきますと、私たちは既に大変環境の破壊、汚染によって影響を受けているんです。それが皆さんが余り気がつかれないだけではないかという心配をしておるわけであります。
世界の人口が来月10月12日で60億人を超えます。もちろんもう超えちゃったか、来年になるかわからないんですが、一応は、国連に人口時計がありまして、その時計が刻々と今刻んでおりまして、少なくても近く60億人を超えるわけであります。私が生まれたころの地球人口はまだせいぜい20億人ぐらいですから、私が生きている間に3倍以上になったわけです。これは過去のいかなる人民も経験したことないような、生涯で同胞が3倍になろうというとてつもないスピードでふえているわけでありますが、その影響がさまざまなところに及んできております。
例えば皆さん、自分の身の回りをじっくりまず考えてください。マグロ、これはいよいよ絶滅の危機に瀕する保護すべき動物に入れられようとしています。マグロの中の一部の種類でありますが、ミナミクロマグロ、最もおいしい、かつ高価な食べ物でありますが、マグロなんて本当はありふれた食べ物だったわけです。それが今や絶滅の危機に瀕する種類に入れられそうであります。そして、形がどんどん小さくなっています。あるいは、もっとなじみのある魚では、例えばニシンとかハタハタなんて最近はもうお目にかかったことないでしょう。これはもう超高級魚です。昔は安い魚の代名詞で、ニシンなんかは人間が食べずに畑の肥料にしたわけです。それを最近はニシン1匹結構勇気を出さないと食べられないぐらい高くなっています。あるいは、昔ちょっと前の鍋物には必ず入っていたアカウオとか、メヌケとか、カサゴといった魚もほとんど姿を消しました。タチウオなんて塩焼きにするとおいしい魚もいなくなりました。ですから、皆さんが、若い方はご記憶ないでしょうけど、私たちの世代が昔母親と一緒に魚屋さんに買いに行った魚のかなりのものが消えてしまったわけです。沿岸の魚は、乱獲と汚染によってほとんど姿を消しました。私たちが食べている魚も、実はとんでもない遠くから、北極圏とか南氷洋から持ってきた魚まで我々は食べているわけでありまして、すっかり変わってしまったです。
皆さんのお宅はどんな材料で新築なさいましたか。