エ 合併算定替
合併後の市町村に交付すべき普通交付税について、合併関係市町村がなお合併前の区域のままで存続した場合に算定される額の合計額を下回らないように合併年度及びこれに続く10年度間はそのまま保障する。なお、その後の5年間で段階的に縮減するので同じ規模の市町村と同額となるのは15年後となる。
オ 合併直後の臨時的経費に対する普通交付税措置
合併直後に必要となる臨時的経費について普通交付税において包括的に財政支援を行う。
中球磨の場合、3億円を限度として5年間にわたり均等に基準財政需要額に算入されることとなる。
カ 合併関係市町村間の公債費負担格差是正のための特別交付税措置
合併関係市町村間における起債制限比率の格差が市町村合併の障害となると認められる場合には全国平均起債制限比率と合併関係市町村との起債制限比率の差に相当する公債費のうち、利子相当分を対象として合併関係市町村の財政状況に応じ、特別交付税措置を講じる
キ 合併準備経費(合併協議会設置経費など)に対する特別交付税措置
法定又は、任意の合併協議会を設置した年度を含めた5年度間に限り、合併準備のために生じる各種財政需要額として自治大臣が調査した額の1/2を特別交付税により措置する
4 市町村合併と地域社会との関係
市町村合併には、多くの効果が期待されるが、他面で規模拡大された市町村と地域社会との関係について、市町村合併をすれば「住民の顔が見えるぬくもりのある行政」が展開されにくくなるのではないかという懸念も聞かれるところである。しかしながら、合併により市町村の規模が拡大する場合においても、1]住民参加の中で新市町村建設計画づくりを行う、2]同計画については、旧市町村単位の地域審議会を設置して進行管理などを行う、3]地域単位の行事などに対する支援を目的とした基金の設置などの施策の実施など、行政が地域に密着した問題を住民の参加や住民との協働の下に解決していくための新たな仕組みを作りあげていくことなどにより、住民の参画と共感をベースに主体的な帰属意識に基づく地域社会をこれまで以上に維持することができる。
また、市町村の規模の拡大により、合併前の身近な行政との距離が遠くなるとの懸念についても、昭和の合併当時とは比較にならないほど交通通信手段が発達した中では、支所・出張所の設置、機動班など巡回サービスの実施、地域審議会の活用、公共的施設などのネットワークの活用など、住民が帰属意識を有するコミュニティなどの地域社会の振興に配慮した様々な施策を展開していくことにより、克服することができる。また、住民自身の日常的生活圏は行政の区域を大きく越えており、こうした懸念は杞憂と言える。
分権型社会における市町村行政においては、分権時代にふさわしい力強い行財政運営体制を整備し、地域発展の原動力としての基盤強化を図ることが求められるとともに、地域社会においては、行政と住民の連携協働体制を構築し、地域コミュニティの将来のあり方を地域からボトムアップすることにより、住民主体の個性豊かな地域づくりの展開を図ることが求められている。今後、市町村はこのような個性豊かな地域社会を創造する有効な手段の一つとして市町村合併を捉え、地域社会の自立につなげる契機とすべきと考える。