資料:(株)百五経済研究所「宮川村における雇用機会の確保と情報発信への取り組み事例」(地方シンクタンクフォーラム資料)及び役場ヒアリング調査より作成
イ 地域資源のネットワーク化及び活用
検証した各事例において、事業の展開にあたっては、農産物や観光資源、あるいはやる気のある人的資源など、地域に点在する様々な地域資源をうまくネットワーク化して十分に活用し、新たな価値を生み出してゆくような取り組みが見られる。
秋田県合川町では都市部などの子供を対象に山村留学を実施するにあたって、拠点施設、山や川といった恵まれた自然、秋田杉(木工細工体験用)やあきたこまち(キリタンポづくりなど郷土料理体験用)といった農林業の資源などをうまくネットワーク化して活用し、交流事業を進めている(図表4-13)。
もちろん地域資源を連携・活用する前提として、これを住民が発見することが必要となる。地域資源はしばしば、地域の隅にころがっており、日頃はなかなか気がつかないものである。例えば、棚田も、中山間地域では見慣れた光景であるが、日本人の心のふるさととして、また、環境保全を考えるうえで重要なテーマとして近年その景観の素晴らしさとともにこれを取り上げて大切にし、次の世代へ残してゆこうとする動きが高まってきている。浮羽町はこうした新たな視点で地域を見つめ直し、身近な地域資源である棚田を地域づくりの中心的な素材としている。
中球磨地域においては、3章で述べたとおり多数の地域資源があげられ、また隠れた地域資源も多数あるものと考えられる。こうした地域資源について、地域住民はなかなか気がつかない場合が多く、外部からの新たな視点を交えながら、地域に点在する資源を発掘し、ネットワーク化すべきである。