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(エ) 役割分担の視点

港湾防災拠点の定義を踏まえると、耐震強化岸壁に隣接する宝町地区や阿賀マリノポリス地区とともに、近接する広多賀谷沖地区も含めて全体で港湾防災拠点として性格づけることが可能である。しかも、この場合、メガフロートはその「移動性」という特徴から、物資等の流動の結節点としての機能が最重要機能である耐震強化岸壁だけでは想定していない広域に対してもデリバリーの手段となりうることによって、耐震強化岸壁自体のカバーエリアを拡大しその機能を高めることが可能である。

また、港湾の特性から判断して宝町地区、阿賀マリノポリス地区を物流系の防災拠点、広多賀谷沖地区を人流系の港湾防災拠点として区分することが考えられる。加えて、広多賀谷沖地区においてメガフロートの内部空間創出メリットを生かして、物資の備蓄や一時保管スペースとして宝町地区や阿賀マリノポリス地区の役割を補完するなど、地区間の効果的連携に配慮した役割分担が考えられる。

 

a 震災時の物流・人流の整流化

様々なモノやヒトの流れが混乱しないよう留意すべきである。例えば、大量の物資を取り扱う場所や自衛隊や消防等の公的な救助専門部隊が活動する場所は、被災者やボランティア人員などが集まる場所と明確に区別されることが望ましい。一方、被災者が集まる場所には、負傷者等に対応する医療救護班や被災者に対する様々な支援活動を行うボランティア人員が配備されるなど、災害時に想定される一連の活動を踏まえた物流・人流の整流化が望ましい。これらのイメージを図表1-22に示す。

耐震強化岸壁が物流への対応が中心であるのに対して、メガフロートは通常のフェリーふ頭が地震によりダメージを受けた場合に、避難者の地域外への脱出や全国各地からの大量のボランティアの受け入れ、復旧期の地域住民による通勤・通学のための陸路交通の代替など、様々な人流への対応が可能といえる。また、内部空間の利用によって、ボランティアや医療救護班等の活動要員の中長期的な滞在場所の提供が可能である。

 

図表1-22 メガフロートの活用による震災時の物流・人流の整流化のイメージ

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