港湾防災拠点は、港湾の持つ「柔軟に活用できる空間特性(大規模性)」、「陸・海・空の結節性、人・物・情報の集中性(ターミナル性)」などの資質に着目した考え方である。従って、呉港が港湾防災拠点として十分な役割を達成するためには、宝町地区及び阿賀マリノポリス地区の合計2つの耐震強化岸壁の背後地において、災害時に必要となる多様かつ大量の活動需要をフレキシブルに受け止めるための場が確保されなければいけない。
しかし、呉港背後地は、周辺を山稜で囲まれ少ない平坦地に市街地が密集しているために、新たなスペース確保の余地が残されていない。このため、災害時に担える役割も、緊急物資の搬出入などの物流系防災拠点としての役割に限定される。