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次いで、その他の高次広域機能である“広域防災拠点”、“一般廃棄物の広域処理”、“海洋環境産業”の3つの機能整備の観点から求められる施設規模を算定した。

・広域防災拠点としては、阪神・淡路大震災時の施設利用実績等を参考に、災害の発生を仮定した場合に求められる施設の機能構成と規模を試算した。

・一般廃棄物の広域処理拠点としては、廃棄物運搬車のフェリー受け入れ拠点として稼働量を試算した。

・海洋環境産業拠点としては、別途検討中の「洋上プラントによる廃棄物デモンストレーション事業」で提案されている洋上プラントの係留拠点としての位置づけを検討した。

以上の検討を踏まえ、事業規模の想定のために港湾物流、広域防災拠点、広域廃棄物拠点、海洋環境産業拠点としての機能の複合化方針をとりまとめ、港湾物流ゾーン、交流ゾーン、宿泊・教育・研修ゾーン、活動支援ゾーンから構成される新たな基盤整備について提案した。そして、用地創出のあり方として、メガフロートの利用を検討し、上部、下部の2層からなる施設配置のイメージを取りまとめた。

 

第2章 メガフロートの費用試算

 

本章では、自然条件、浮体構造物、荷重条件、耐用年数、けい留施設などに関して様々な条件をおきながらメガフロート及び埋立ての費用積算を行い関連費用を含めて前者の場合約190億円、後者の場合約270億円という結果を提示した。

次いで、このような投資が行われた場合、どの程度の地域波及効果が見込まれるかについて広島県の「地域産業連関表」を活用して検討し、以下のような結論を得た。

・メガフロートで建設を行った場合(「船舶・同修理」と見なす)、約300億円の県内波及効果が見込まれ、船舶・同修理、鉄鋼、建設、商業の各分野に大きな需要が発生する。

・メガフロートで建設を行った場合(「金属製品」と見なす)、約300億円の県内波及効果が見込まれ、金属製品、鉄鋼、建設の各分野に大きな需要が発生する。

・埋立てで建設を行った場合、投資規模自体が大きいこともあって約400億円の県内波及効果が見込まれ、建設、対事業所サービス、商業、運輸、鉄鋼、金属製品の各分野に大きな需要が発生する。

このような地域への波及効果が広島県及び呉市の地域特性(産業構造)とどのように関連するかを分析し、呉市では製造業、なかでも造船業や鉄鋼業に特化していることからメガフロート建設による効果が市産業活性化に大きく寄与する可能性が高いこと、また、市の新規成長産業のイメージにも合っていることを明らかにした。

 

 

 

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