次いで、本年度は、図表序-1の体系に示す「事業化計画」について検討を加えた。具体的には、事業規模を想定し、これをもとに、様々な前提を置きながら本調査研究で導入を検討した新技術である“メガフロート”と従来工法である“埋立て”について建設事業費の積算を比較した。そして、この試算に基づき、事業スキームを設定し、資金計画についてケース設定を行いながらそれぞれのケースにおいて市にとってどの程度の費用負担が見込まれるかについて検討した。
2 本調査研究の位置づけ
本調査研究では、呉地域の活性化に向けて1]港湾機能、2]広域防災機能、3]廃棄物の広域処理機能、4]海洋環境産業の4つの機能について検討を加えているが、このうち、1]は呉港がわが国の重要港湾として、また、4]は高度な生産技術集積を活用して、県域・国内に留まらない広域を対象に機能することが期待されている。そして、2]及び3]については、概ね呉地方拠点都市地域1市12町のなかでの位置づけ(3]については、愛媛県の1村が含まれる)を広域の範囲としてい考えている。
また、図表序-1に示したように、本調査研究に並行して「呉港港湾計画策定調査」が実施されており、本調査研究において検討した新たな港湾機能の必要規模等については、同調査において検討されている将来貨物量見通しと必要施設量試算の中間的な結果を活用しながら進めている。
しかし、本調査研究は、上記調査の結果を活用しているが、港湾計画策定調査とは離れた独自の立場での研究として実施した。すなわち、呉市の自立的発展の牽引力として港湾の機能を位置づけているが、その機能創出の場として制度上十分な位置づけを得ておらず、安全基準・設計基準等について確定していない“メガフロート”を位置づけているだけに、その建設費用についても様々な前提のもとで検討を加えている。
3 本調査研究の概要
第1章 事業規模の想定
本章では、まず、別途実施されている「呉港港湾計画策定調査」における取扱貨物量の推計(未確定値)を受け、貨物量見通しの拡大に対応した港湾施設整備の必要性を以下のように設定した。
・今後、呉港広湾の公共ふ頭において、外貿貨物307千トン、内貿貨物388千トンの取扱貨物量が見込まれる。
・これに対応した必要な岸壁は、−7.5m岸壁(1バース 130m)及び−10.Om岸壁(1バース 170m)の2岸壁である。そして、このような岸壁の整備に伴い必要となる公共ふ頭面積は、合計で8.Ohaである。