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(3) 観光地としての白浜の特徴について

○ 季節性の大きさ

白浜観光は、季節性が大きい。白浜は夏場にはよく売れるが、春・秋・冬は集客力が落ちる。夏場だけだと、40日位しかなく、短い点が弱みとなる。短いシーズン中は施設は一杯であり、シーズンを外すとガラガラという状況になってしまう。北陸・山陰が食の魅力として売り出しているカニは11月から5ヶ月間位いける。常春を売り物にするのは宮崎と同じであり、海外と競合してしまう。しかし、入込のフルシーズン化が実現しているのは、北海道ぐらいであり、非常に難しいテーマである。

○ 知名度の高さと新たな魅力づけ

白浜は熱海と同様関西では圧倒的に知名度が高く、他の地域の人にとっては観光地の代表として具体的に何があるのか判らないがあこがれのようなものがある。そういう意味で、白浜のポテンシャルは非常に高い。しかし、他方では、現状の白浜の規模からすると、温泉だけで若者層を引きつけることは難しく、今後の方向付けが難しいところである。

白浜は、城崎が若者に焦点を絞って成功していることなどと比較すれば、ターゲット発想が弱く、中途半端とみられる可能性がある。何でもあるが、具体的にどのような売り物があるかを考えると、海と温泉以外特にイメージ的に突出したものがないという状況である。雑誌の編集的には取り上げにくい所になっている。また、食の特集に載せるのが難しい。例えば、食材なども大阪から入れているものが多く、地元の食材という点での魅力に乏しい。関西人は、食の魅力があれば必ず来るのでこれを何とかしてアピールする必要があるのではないか。白浜でも、名物料理として“くえ”のような日本海側では食べられない特徴のある食材が探せばあるが、地域全体が一体となって利用しようとしていないのではないか。

○ イメージ戦略の必要性

関西圏の人をもう1回連れて行くには、地域全体として売り出していくことが必要であろう。また、イメージの打ち出しについても、海があるだけまだポテンシャルがある方であるから、海の活用の仕方を充実していく必要がある。南欧風リゾート性、マリンスポーツ、など可能性の高い地域であろう。早く春が来るというだけでも大きな魅力として使えるはずである。

また、そのイメージを地域全体で展開していくことが必要であるが、観光地の強みは主体的に創出していくものであるとの意見がある。例えば、福井県の三国ではナホトカのイメージで入込数が対前年20%以上の伸びになっているのに対して、東尋坊は大幅な減少になっている。また、城崎の裏の香住町は、本来何もないところであるが冬のカニに加えて春は白エビ(ドロエビとも言いシャコに近いもの)をサクラエビとして打ち出すことでオフシーズンを埋めている。立地は変えられないのだから、食の文化で売出せばいい。白浜のあたりは伊勢エビが一番多く取れるところのはずであり、取れたての旬のものを出すことができるはずである。従来は、数が集まらないということで、大型旅館では使われてなかったようであるが、団体客が減少しているなかでは、いくらでも活用の方法はあるのではないか。しかし、白浜は城崎などと比較して地域のまとまりが弱くなっているように見える。

 

 

 

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