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(2) 旅行客のニーズの変化と旅行地選定のポイント

○ 旅行客のニーズの変化

旅行専門業者は、旅行客のニーズは、以下に示すように大きく変化しているとみている。

1] 昔は、場所(九州とか北海道とか)主導で決めていたものが、現在では目的(温泉、癒しというような形で)と時間で場所を決めていることが多い。旅行業界も、このような消費者の変化に合わせて、旅行パンフレットを“場所別”に加えて“目的テーマ別”のもの(「癒しの旅」や「露天風呂のある旅」など、その目的にあった全国の観光スポットを横並びで比較する)を作成するようになった。

2] 客の求めるものは、安いもの(客も多くは要求しない)と豪華なもの・余裕を持って動くものに両極分化している。旅行が日常化し、客の情報量は驚くほど増えており、自分の望んでいるものにフィットするものだけを選んでくる。誰のニーズにも合い、客層の幅・ポテンシャルが大きいのではないかというような中途半端な企画が、意外と売れない。観光地の方針としては、何かに特化して特徴を出すことが必要である。例えぱ、鹿児島の指宿は大した料理はないが、“砂蒸し”といったような目玉があって、皆がそれを核に地域振興を図ろうとしている。

3] 何があるかをアピールできないエリアには誰も行かない。白浜は、白浜温泉を皆が知っているはずということで安心しているのではないか。観光旅行者の地域選択基準が多様化するなかで、白浜もこれまでのように安泰というわけにはいかないのではないか。団体旅行は無難な所を幹事が決めるが、個人・グループはそれぞれの興味に沿って何か名物を目指していくことになるので、このような点についてアピールするような取組が必要である。

4] 最近の客は必ずしも豪華な料理は望まない。これは、ホテル側の思い込みになってしまっているのではないか。豪華な料理を望むのは男性のみであり、熟年層や女性、小グループの人は手を着けないことも多く、むしろもったいないという目で見ている。また、マグロの刺身はどこででも食べられるので、旬のもの、地元のもの(漬け物でよい)へのニーズが強い。

○ 新たな取組の事例

このようなニーズの変化に対応して、客層の拡大への取組としては、以下のようなものが進められている。

ア 味覚を売り物にした料理ツアー

有馬や山陰、北陸などで増加しているが、主婦層が平日にグループや友人と行くことが多い。それ自体は収益につながりにくいが、地域を知ってもらうキッカケづくりとしての先行投資とみている。例えば、自社では、費用が2〜3万円になる北陸の“日帰りカニ旅行”でも去年は5万人の申込があった(南紀では数千人の規模であり10倍の差がある)。

イ 雪と温泉をアピールしたアジアの外人客の開拓

温泉に入ったことのない人が少なからずいるので、ポテンシャルユーザーは少なくない。台湾は現在温泉ブームになっており、受け入れ体制をうまく作ることによって、関空を利用しての強みを発揮できるのではないか。

 

 

 

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