橋本知事は、平成4年度から企画部企画調整課を所管課として、高知県出身で元文部省事務次官であった宮地貫一氏を会長とする「高知県工科系大学(工学部)構想検討委員会」を設置し、基本構想の策定をゆだねた。
委員会は、取りまとめた基本的方向についての提言の中で、最大の課題となる設置形態について、1]国の認可を受け早期に設置することができる、2]教育研究の内容、教員の確保、産学協同の体制等の面で柔軟に対応できる、3]既存の枠組みにとらわれず、特色のある大学を創設できる、などの面から、公設民営方式で設置する私立大学が望ましいとした。また、設置場所については、良好な教育・研究環境を第一に考慮し、産業界との連携に便利な場所が望ましいと提言した。
公設民営方式による大学設置の方針を固めた県は、平成5年9月の定例県議会で、平成9年4月開学を目指し、土佐山田町の県立林業試験場の跡地に設置する意思を表明するとともに、施設の基本設計費などの予算議案を提案した。
イ まちづくり・都市計画について
平成5年、県は、21世紀の県土づくりの基本指針として高知県総合計画を策定した。この総合計画では21のハード事業を掲げているが、工科大学の設置もその一つに位置づけられ、県勢発展の最重点プロジェクトとして取り組むこととなった。
設置予定地の土佐山田町及びその周辺の地域には、工科大学を中心に環境のすぐれた学園都市づくりが計画された。また、土佐山田町にはその隣接地に高知中央中核工業団地の整備も計画されていた。この二つのプロジェクトは、その後の地域づくりやまちづくりに大きなインパクトを与えるものであり、県と土佐山田町は平成6年これらの事業を核とした「土佐山田学園都市構想」を策定した。同構想では、工科大学の「学」、工業団地の「産」の機能に快適な住宅環境を整備する「住」の機能、並びにこれらの機能が相互に連携できる「交流」(学術・産学・地域・国際交流」の機能を加えた魅力あるまちづくりを目指すこととした。