また、今後、地方分権の具体化がさらに図られれば、地域の個性や役割のさらなる明確化が期待できる。そして、同時に、地方分権の潮流は、市町村運営の効率化やより快適な“生活都市”創造への期待をいっそう高めていく。こうした流れの中で、広域市町村圏の担う役割はますます重要となっていき、住民の生活圏域や産業経済活動などの広域化と相まって、広域行政の積極的展開が不可欠な時代となっている。
今、地域課題の一つである人材の育成や確保に中部圏が一体となって取り組むことは、とりもなおさず時代の要請に応えることになり、分権社会実現への取組を推進する契機にもなる。
3 本調査研究の位置づけ及び調査研究体制
(1) 本調査研究の位置づけ・性格
本調査研究は、沖縄市と(財)地方自治研究機構との共同事業として実施したものである。
すでに述べたように、以上のような主旨・目的に基づき、中部圏での人材育成・確保をめぐる問題・課題を探った本調査研究は、次年度以降、その具体化に向け、構想、基本計画さらには実施計画へと、圏域が一体となって取り組まれることを期待して、沖縄及び中部圏の“人づくり”、とくに、高等教育による“人づくり”に関わる基礎的状況を取りまとめたものである。
したがって、人材の育成や確保のために高等教育の充実が不可欠とする認識を堅持しつつも、圏域で整備・充実されることが望ましい大学などによる高等教育のあり方(内容、レベルや分野など)及びその提供システムについて、本調査研究としての具体的方向性や結論を導いてはいない。