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しかし、そうした産業経済面のみでなく、前節(1)、(2)で述べたより幅広い視点からの人材の育成や確保、“人づくり”に公共が具体的に関わるべき時代になっている。すなわち、公共、とくに市町村は、基礎的自治体として住民生活や地域でのさまざまな主体によるさまざまな営みに、直に、かつ、総合的に対応する役割を課せられている。言い換えれば、総合的かつ客観的立場から、地域の問題や将来について把握し、対応する唯一総合的の経営体であり、地域の明日に向けリードする役割を求められている。したがって、めまぐるしい社会変化の波の中で地域のあるべき方向を見失わずに今後の地域づくりに取り組んでいくためには、担い手の育成や確保に、民間との緊密な連携のもと、公共自らが今まで以上に踏み込む必要がある。

そして、そうした積極的な姿勢を維持しつつ、公共は、人材の育成・確保システムをできるだけ多様な形で構築していく必要がある。同時に、民間サイドによる人材の育成・確保システムヘの支援や協力の拡充を求められている、と言えよう。

 

(2) 中部圏としての一体的取り組み

住民の日常生活圏、産業業経済活動の圏域などの広域化の流れがますます加速している今日、また地方分権化の動きがますます進展を予想される中、地域の均衡ある発展を目指すためには、人材の育成・確保のみならず、情報の収集・分析、各種団体との交流、政策の立案その他、さまざまな面で、高度な専門知識と多角的視点を持って、近隣市町村が一体となって組織的に取り組む体制が整備されなければならない。また、そうすることにより、個々の市町村のみでの取り組みでは直面せざるをえない人的・組織的な限界を乗り越える可能性が高まるし、広域的な生活圏としての将来像を共有できるようになろう。

したがって、中部圏においても、「『職・住・遊・学』の備わった地域圏」、「若さと活力に満ち、国際色豊かな“CHUBU”」(沖縄県中部拠点都市地域基本計画)と言う圏域の目標像実現に向け、人材の育成・確保への取組を一体的に進める必要がある。そして、このことは、圏域内個々の市町村ごとの魅力と個性ある地域環境の創造につながるであろうし、地方分権の実質化という効果も期待できよう。

 

 

 

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